角川文庫<br> 銀の匙

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角川文庫
銀の匙

  • 著者名:中勘助【著者】
  • 価格 ¥484(本体¥440)
  • KADOKAWA(2015/05発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041013380

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内容説明

書斎の小箱に昔からある銀の匙。それは、臆病で病弱な「私」が口に薬を含むことができるよう、伯母が探してきてくれたものだった。成長していく「私」を透明感ある文章で綴った、大人のための永遠の文学。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ソルティ

357
途中まで退屈だったが学校上がった頃から盛り上がり読み進んだ。この病弱で繊細な主人公を根気強く育てる伯母に脱帽。私ならノイローゼ(笑)。そしてこの子がたくまくしくなっていく様が清々しく、自然、祭り、人間模様、玩具や遊びとか、煽りすぎない素朴な表現がとても素敵。しかし昔の子供社会はいじめからかい仲間はずれ多く女子は学歴主義で結構辛辣だな〜。「私はいつになく喜んで昼飯をたべてたのにおりあしくむこうから人がきたものですぐさま箸をほうりだして もう帰る といいだした。生きもののうちでは人間がいちばんきらいだった。」2021/06/18

ゴンゾウ@新潮部

102
文庫本の装丁の清々しさに惹かれて手にとった。病弱で人嫌いの少年が幼児から青年に成長するまでを描いた物語。少年の目線で物語は語られており、ひとつひとつの描写が精緻でとても美しい。節目、節目での大切な人の出会いの出来事が少年を少しずつ成長させていく。解説の川上弘美さんが言われる通り美という武器を持った冒険記である。2017/06/11

オリックスバファローズ

89
主人公の少年は神田の生まれだが、それをとても不幸だと嘆いている、つまり下町の威勢のいい気風と、自分の気弱な性格が合わないのである。「私のような者が神田のまんなかに生まれたのは河童が沙漠で孵ったよりも不都合なことであった」と、読んでいるほうがこの子は大丈夫かなあ?と心配になるほどだが、しかしそんな弱さをいつも温かく受け止めてくれるのが伯母さんなのであり、いつでも一所懸命で、とことん少年を愛しました。この愛情が少年の記憶を照らす、かけがえのない光になっているのであった。2018/04/15

扉のこちら側

74
初読。2015年953冊め。漱石が絶賛するだけあって、日本語の美しさが際立っている。「翼をたおたおと羽ばたいて」。小説ではなくエッセイで、登場する人々が実在していたかのように存在感がある。カドフェス2015。2015/08/07

ポップ

63
「ふたをするとき ぱん とふっくらした音のする」お気に入りの小箱につめた銀の小匙が幼い記憶を呼び覚ます。虚弱な身体を叔母に背負われ彷徨った神田の町。床でそらんじた百人一首。縁日の夜店。初めてのお友だちのお国さん。ひらいたひらいた。かごめかごめ。これらの遊戯を現代っ子は知ってるかしら。百年以上前の東京は御伽噺の扉を開き幼心が蘇る。私はやんちゃ坊主でなぜか遊び相手の靴やおもちゃを草むらに投げる悪さをした。泣きながら何度も母と謝りに行ったことが思い出される。反動から物を大事にするようになったのかもしれない。2020/03/02

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