内容説明
カントは難しいと、誰もが思っている。だが、昔の旧制高校生は、当然の常識として皆が読んだ。その後も、哲学青年たちの間では、不可欠の教養として読み継がれてきている。なぜならば、カントが言っていることが人生にとって有益であるからに他ならない。とはいえ、やはり普通の読者が『純粋理性批判』などを読むのは、ハードルが高すぎる。そこで、本書では、カントがいくつもの難解本を書いたのち、老年になって書いた『人間学――実践的見地から』という平易な本から、大哲学者が考え抜いた末に達した「人生観がにじみ出る断章」を105編厳選し、わかりやすい解説を加える。それでも、カントの思索は、戦争から男女愛まで及んでおり、しかも、ユニークな見方が多く味わい深い。今まで、「難しいから自分はムリ」と、カントさんを敬遠していた方も、この本なら大丈夫である。「マジメにスゴいカントの世界」をぜひ味わってください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こっこ
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食卓を共にすると敵も味方になる。快活人間には要注意。強者の論理は人を幸せにしない。唯我独尊を貫ける人物は偉大だ。若者の自力更生のために(自分で思考せよ。まず相手の立場に立って考えよ。いかなる時でも己自身の本質に一致した態度をとる。)など、カントの考えを具体的エピソードで説明していて分かりやすかった。2023/06/06
きぬりん
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見開き2ページの右側にカントの言葉を配し、左側にその訳者コメントを付した本。ほとんどの言葉が晩年の『人間学』から収録されており、その峻厳な哲学体系とは趣を異にした、カントの「俗臭紛々たる世俗的な考え方」(p.250)を垣間見ることができる。個人的な感想としては、これといって琴線に触れるような見解は示されておらず、カント哲学にある程度慣れ親しんだ人が息抜き程度に読む分には楽しめるかもしれないが、カント哲学のエッセンスを簡便に知りたいと思う人がこの本を紐解くのだとすれば、大いなる肩透かしを喰らうことは必定。2021/08/27
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