内容説明
「さとり世代」などの言葉が生まれるのに先んじて、保守化する若者世代の傾向を喝破していた書籍の文庫化。現実と社会制度や意識の間に横たわる様々なひずみが若者の希望を削いでいる社会の実情に警鐘を鳴らす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白玉あずき
14
長く生きてきたものだから、高度経済成長、バブルとその崩壊、新自由主義、金融市場主義社会等々と色々経験させてもらった。リベラルで開放的であることは、豊かで余裕のある層(絶滅危惧種の中流層)の贅沢な価値観にすぎないのではないかと思う今日この頃。でもなぜ苦しい若者の多くが「自己責任論」的発言をするのか不思議でならなかったが、ジョン・ヤングの「排除型社会」の引用で成程と合点した。経済とアイデンティティの不安定化が「下向きの視線」を生み出す・・・・要は弱い者同士の足の引っぱり合い状態。既得権を持ってる層は強いよ。2015/12/27
まあい
4
雑誌連載の社会学小エッセイ集。著者の研究および政策提言がコンパクトにまとまっており、手元にあると便利な一冊。オランダ等の労働政策は面白そうだと思った。ただ、アニメやゲームなど「バーチャル産業と言うべき夢の中で楽しませる産業が発達するのも、リアルな世界で希望を持てない若者が大量に出現したからではないだろうか」(p245)という記述には、さすがに首肯しかねた。2016/07/09
Mitz
4
『希望格差社会』の著書で有名な山田昌弘氏が、現代日本の実情を、労働、人口動態、消費行動、恋愛・結婚など様々な観点から分析している。題名の問いについては、読み始めて間も無く、「保守化せざるを得なかったからだ」という解に辿り着く。では、その状況を打破するには?…というと、問題があまりに根深すぎる。この類の考察に触れる度に、対策を打つには遅きに失した感すら覚える。日本はどこに進もうとしているのだろうか…。この本は保守化に焦点を当てたものだが、戦後社会を考える上で、左翼の盛衰についても何か本を読んでみようと思う。2015/05/16
きぬりん
0
2005〜9年、すなわち小泉郵政選挙から民主党政権誕生までの期間に『週刊東洋経済』で連載されていた著者のエッセイをまとめた本。2015年の文庫化に際して序論と終論が書き加え&書き下ろしされており、表題の問題は主にそちらで取り扱われている。雇用状況と結婚状況の変化にもかかわらず、旧来の雇用システムや性別役割分業意識はそのまま取り残された結果、従来のシステムに入り込めた若者は安定を求めて保守化し、こぼれ落ちた若者はファンタジーやヴァーチャル世界に逃避するというのが基本的な主張。詳しくは著者の別著を読むべき。2021/11/12
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