内容説明
ビッグデータはいいこと尽くめじゃない。電話番号、スケジュール、写真、ドキュメントなど、クラウドに委ねることが当たり前となった時代、膨大なデータを誰がどう管理・活用しているか知っているだろうか? 無料、便利さと引き換えに少しずつ浸食される個人の情報。プライバシーを脅かす「新たな監視社会」に対する警鐘の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鳩羽
12
道具というよりは、なくてはならないインフラの一つになったインターネットは、個人の能力や記憶を外部化するものであり、それらの管理は本来個人に属するものであるはずなのに、個人の知らないうちに認めたくない方法で利用されうるという内容。それは安全性よりも利便性や低コストを選択した個人の責任なのかもしれないが、いまや知識が無くても、子供でも利用するものなので、利用者目線のサービスにするべき、プライバシーに配慮したものを選んでいくべきという提案。確かに情報収集されることを拒めるかというと、それは難しいとは思う。2015/12/23
中年サラリーマン
11
ビッグデータのいい面と危うい面を記した本。ただ、車が交通事故という危うい面を持ちつつも利便性のすばらしさから広まったようにビッグデータも広まっていくだろう。その理由は、「予測」という機能である。アマゾンのお客が購入するものをあらかじめ予測して近くの支社にあらかじめ配達しておくといったもの。ただ、予測の仕方が人間と全然違う。人間は因果関係から予測するが、ビッグデータを使った予測は因果関係ではなく相関関係から予測するというもの。アプローチが全然異なるのでうまく使えば人間とうまく共存できるかもしれない。2016/12/02
ちいちゃん
8
個人情報について今一度考えさせられる。気づいた時には手遅れになっていたなんてことにならないようきちんと考えるべき。2016/05/24
Schuhschnabel
7
身の回りのスマートフォンやパソコンは、もはや単なるモノではない。これらは、自身の個人情報をアウトソーシングしている、ある種の分身である。この本を読んで、この当たり前のことを再認識させられた。さらに、今後ウェアラブル端末が普及すれば、IoT(Internet of Things)の時代から、IoH(Internet of Humans)の時代へと移り変わっていくだろう。ユーザーの側としては、もう少し個人情報を自己管理していくという時代の変化に敏感でいた方がいいのかもしれない。2018/03/08
まいこ
6
刺激的だった。端末は外部化された脳、分身。ウエアラブル端末も徐々に体内に入ってくるようになれば、IoTならぬIoHで、ユヴァル・ノア・ハラリ氏の「サピエンスはデータになる」に着々と近づいていると実感する。あらゆるデータが収集され世界のどこかに記録され残っていくから、漏洩すると取り返しつかないし、スナップチャットのような痕跡を残さない仕様のアプリが人気に。スマホというセンサーの塊を常時持っていることは「加速度、温度、重力、ジャイロ、照度、地磁気、圧力、接近、湿度といった情報を常に収集」され記録されていく事2019/12/02