内容説明
北仏のある避暑地で、英国人ローズ卿が深夜、秘蔵の煙草入れもろとも頭を打ち砕かれて殺されるという陰惨な事件が起った。いくつかの状況証拠から、殺人容疑は、ローズ家の向いに住み卿の息子と婚約中のイヴにかかった。ところが、事件当夜、彼女は前夫ネッドと窓越しに惨殺現場を見ていたのだ。婚約者の手前、無実の証に前夫を持ち出す訳にもいかないイヴは、抗弁できぬままにいよいよ追い詰められてゆく……綿密な筋書の下に演出された完璧とも思える殺人劇の全貌とは? アリバイ崩しを扱った本格ミステリの名篇として名高い著者の代表作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kyo's
3
カーはまだ二作目なので語れるほど知らないのですが、三つの棺に比べるとだいぶあっさりしてる気がします。謎解きで延々延々と語られるのがカーの特徴かと思っていたので。名作と言われるだけあって話は非常に面白かったです。謎解きのきっかけは今でこそよく使われる手法ではありますが。まだ裏があるのかーと、気持ちよく騙されました。ただし、イヴにも、イヴのお相手の男どもとその周りのやつら(要するに登場人物のほとんど)にはイライラさせられました。イヴ、男運悪すぎ。2018/05/19
N.K
1
名作と呼ばれるだけあって、非常に面白い作品だった。登場人間の心理状態を上手く扱っており、事件の捜査状況がコロコロ変わり期待と不安が交互に襲ってくる感じ。作中に散りばめられた暗喩や伏線が順々に回収されてゆき、読後は充実感に浸れました。2015/08/14
tsumugi
0
なるほど面白かった!ヒロインの薄幸ぶりにはらはらしているうちに読み終わっていたのですごい。トリックも動機も、人間心理から近づいていく探偵手法もいい。構成が色々とお洒落だ。2017/10/01
産廃屋
0
うまいが、カーの臭みはさほどない。2008/06/13