ハヤカワ・ミステリ文庫<br> 囁く影

個数:1
紙書籍版価格
¥836
  • 電子書籍
  • Reader

ハヤカワ・ミステリ文庫
囁く影

  • ISBN:9784150703585

ファイル: /

内容説明

パリ郊外の古塔で奇妙な事件が起きた。だれもいないはずの塔の頂で、土地の富豪が刺殺死体で発見されたのだ。警察は自殺と断定したが、世間は吸血鬼の仕業と噂した。数年後、ロンドンで当の事件を調査していた歴史学者の妹が何者かに襲われ、瀕死の状態に陥った。なにかが“囁く”と呟きながら。霧の街に跳梁するのは血に飢えた吸血鬼か、狡猾な殺人鬼か?吸血鬼伝説と不可能犯罪が織りなす巨匠得意の怪奇譚。改訳決定版。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネコベス

26
パリ郊外の古塔の頂上で土地の富豪ブルック氏が仕込み杖で刺され死亡した。警察は自殺と判断したが、六年後ブルック氏の秘書だった女フェイがロンドンに現れ歴史学者ハモンドの司書として雇われてから暫く、ハモンドの妹が襲われた。六年前の事件を良く知るリゴー教授は吸血鬼の存在をほのめかす。カーの十八番である不可能犯罪を怪奇ムードたっぷりに仕上げた本格ミステリ。登場人物が皆事件解決にやけに協力的過ぎる感じはあるが概ね楽しめた。メリヴェール卿に比べるとフェル博士がいかに温和で落ち着いた性格かが良く分かる。2019/06/11

みっぴー

24
塔の頂上で背中を刺され死亡。犯行時には誰も塔の付近へ近寄らなかったが、塔の外壁には何者かがよじ登った跡が……という、いかにもカーらしい不可能犯罪を扱った作品です。トリックが少々味気ないものの、吸血鬼伝説を題材にしたオカルトチックな雰囲気で、なかなか楽しめました。登場人物が少ないうえに、テンポ良く進むのでストレスもありません。凝りに凝った難解な作品より、こういうシンプルでサラッと読めるミステリの方が好きですね。2015/08/21

本木英朗

21
1939年、パリ郊外にたたずむさる城館の持ち主、ハワード・ブルックが敷地内の古びた塔の屋上で無残に殺されているのが発見されます。彼は息子をたぶらかす魔性の女に手切れ金を渡すためその場にいたらしいのですが、肝心のその女は被害者が死亡したと思われる時間には一歩もその塔に出入りすることはなかったのでした。そして6年後、ロンドン。歴史学者のマイルズ・ハモンドはハワードの親友リゴー教授から当時の事件の顛末を聞かされ、(→)

藤月はな(灯れ松明の火)

21
冒頭から殺人クラブに出向く主人公から始まる吸血鬼の疑いと塔での殺人。結局、リゴーの浅慮な行為が引き金になってしまった事件とも言えるのじゃないですか(怒)こういう愚か者は一番、嫌いです。その分、フェル博士の人柄に救われました。フェイに対する女性陣の不信感は共感するのに対してマイルズのロマンチック思考に苛々させられました。2012/11/13

本木英朗

18
巨匠カーの作品のひとつである。俺は2001年に1回読んでいた。パリ郊外の古城で奇妙な事件が起きた。誰もいないはずの塔の頂で、土地の富豪が刺殺死体で発見されたのだ。警察は自殺と断定したが、世間は吸血鬼の仕業と噂した。数年後、ロンドンで当の事件を調査していた歴史学者の妹が何者かに襲われ、瀕死の状態に陥った。なにかが囁くと呟きながら……という話である。2回目であるがぜんぜん分からなかったよ、俺は! さすがは名探偵フェル博士、そして作者である。大満足でした!!(→)2024/01/02

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/483098
  • ご注意事項