内容説明
パリ郊外の古塔で奇妙な事件が起きた。だれもいないはずの塔の頂で、土地の富豪が刺殺死体で発見されたのだ。警察は自殺と断定したが、世間は吸血鬼の仕業と噂した。数年後、ロンドンで当の事件を調査していた歴史学者の妹が何者かに襲われ、瀕死の状態に陥った。なにかが“囁く”と呟きながら。霧の街に跳梁するのは血に飢えた吸血鬼か、狡猾な殺人鬼か?吸血鬼伝説と不可能犯罪が織りなす巨匠得意の怪奇譚。改訳決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっぴー
25
塔の頂上で背中を刺され死亡。犯行時には誰も塔の付近へ近寄らなかったが、塔の外壁には何者かがよじ登った跡が……という、いかにもカーらしい不可能犯罪を扱った作品です。トリックが少々味気ないものの、吸血鬼伝説を題材にしたオカルトチックな雰囲気で、なかなか楽しめました。登場人物が少ないうえに、テンポ良く進むのでストレスもありません。凝りに凝った難解な作品より、こういうシンプルでサラッと読めるミステリの方が好きですね。2015/08/21
本木英朗
23
1939年、パリ郊外にたたずむさる城館の持ち主、ハワード・ブルックが敷地内の古びた塔の屋上で無残に殺されているのが発見されます。彼は息子をたぶらかす魔性の女に手切れ金を渡すためその場にいたらしいのですが、肝心のその女は被害者が死亡したと思われる時間には一歩もその塔に出入りすることはなかったのでした。そして6年後、ロンドン。歴史学者のマイルズ・ハモンドはハワードの親友リゴー教授から当時の事件の顛末を聞かされ、(→)
藤月はな(灯れ松明の火)
22
冒頭から殺人クラブに出向く主人公から始まる吸血鬼の疑いと塔での殺人。結局、リゴーの浅慮な行為が引き金になってしまった事件とも言えるのじゃないですか(怒)こういう愚か者は一番、嫌いです。その分、フェル博士の人柄に救われました。フェイに対する女性陣の不信感は共感するのに対してマイルズのロマンチック思考に苛々させられました。2012/11/13
本木英朗
21
巨匠カーの作品のひとつである。俺は2001年に1回読んでいた。パリ郊外の古城で奇妙な事件が起きた。誰もいないはずの塔の頂で、土地の富豪が刺殺死体で発見されたのだ。警察は自殺と断定したが、世間は吸血鬼の仕業と噂した。数年後、ロンドンで当の事件を調査していた歴史学者の妹が何者かに襲われ、瀕死の状態に陥った。なにかが囁くと呟きながら……という話である。2回目であるがぜんぜん分からなかったよ、俺は! さすがは名探偵フェル博士、そして作者である。大満足でした!!(→)2024/01/02
Tetchy
20
結局、この物語で語りたかった事は何だろう?不可能状況、不可解状況を作り出すためにわざわざ登場人物達を歪曲したような感が強く、興醒めした。現実にありえない事でもそれを思いつき、理論立てた作者の力量に感嘆するのだが、本作にはそれが皆無である。だから真相を明かされても、ご都合的だと思われ、カタルシスがないのだ。あ~、とても残念だ。2009/04/28
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