内容説明
歴史学教授のフェントンは過去のある事件を調べるため、悪魔と契約を交わし時を遡った。三百年前の貴族に乗り移り、その妻が毒殺された事件を解明しようというのだ。きっかけは、事件の顛末を記した執事の手記だった。なぜか事件解明の部分だけ欠落していたのだ。過去の謎に挑むフェントンは事件を防ぎ、歴史を作り変えられるか? 華麗な恋愛模様と壮絶な剣戟場面を織り込み、中世英国を舞台にものした歴史ミステリ巨篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
58
ケンブリッジの学者が悪魔と契約して過去の人物に乗り移るという歴史ミステリ。この物語、作家自身がフェンシングを得意としていたらしく、剣劇の描写がとにかくリアルで、歴史冒険活劇と言ってもいいほど。台詞も、歴史小説にありがちな堅苦しいものではなく、読みやすい。フェントンの、悪魔と契約してしまうほど三百年前の女性の肖像画に惚れ込みよう。遡った過去には姪にそっくりな女性メグがいたこと。そして、ちょっとなんだかなあ、のラスト。内容としては突っ込みどころがたくさんあるのだが、それもまた面白の一つということで。2022/12/15
本木英朗
26
最近は空前のカーブームなので僕もその尻馬に乗って未読の作品をいっぱい買ってしまったのですが、これは後期カーお得意の歴史ものです。17世紀ロンドン、王政復古後のスチュアート王朝統治下、セントジェイムズ宮殿のそばに暮らす王党派の騎士、サー・ニコラス・フェントンの邸で、彼の妻リディアが何者かに毒殺されました。真相は不明のまま、月日は流れ1957年。かつてのフェントン卿の邸に暮らすのは彼と同名の歴史学者ニコラス・フェントンでした。(→)
みっぴー
25
「ちょっと300年前に行って事件解決してくる」と言って悪魔と契約して17世紀に旅立った歴史学者。カーらしいぶっとんだ設定ですが、HM卿もフェル博士も出てきません。ミステリより、サスペンス寄りかな?と感じました。500p超、少し長めですが、決闘や政治、宗教対立など盛りだくさんで、全く飽きさせません。最後に明かされる犯人の正体、やはりカーは何を書かせても一流だなぁと再確認。作中の悪魔が軽すぎて笑えました!2015/07/26
本木英朗
17
巨匠カーの、歴史ミステリの作品のひとつである。俺は2001年に一度読んでいた。歴史学教授のフェントンは過去のある事件を調べるため、悪魔と契約を交わし時を遡った。三百年前の貴族に乗り移り、その妻が毒殺された事件を解明しようおいうのだ。きっかけは、事件の顛末を記した執事の手記だった。なぜか事件解明の部分だけが欠落していたのだ。過去の謎に挑むフェントンは事件を防ぎ、歴史を作り変えられるのか?という話である。2回目であるが全く分からなかったので、本当に超凄かったです、ハイ。(→)2024/05/07
Tetchy
12
趣味・趣向の違いから巷で騒がれているほど特別には感じなかった。しかし決闘シーンの描写は特に圧巻!2008/11/07