内容説明
歴史学教授のフェントンは過去のある事件を調べるため、悪魔と契約を交わし時を遡った。三百年前の貴族に乗り移り、その妻が毒殺された事件を解明しようというのだ。きっかけは、事件の顛末を記した執事の手記だった。なぜか事件解明の部分だけ欠落していたのだ。過去の謎に挑むフェントンは事件を防ぎ、歴史を作り変えられるか? 華麗な恋愛模様と壮絶な剣戟場面を織り込み、中世英国を舞台にものした歴史ミステリ巨篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
58
ケンブリッジの学者が悪魔と契約して過去の人物に乗り移るという歴史ミステリ。この物語、作家自身がフェンシングを得意としていたらしく、剣劇の描写がとにかくリアルで、歴史冒険活劇と言ってもいいほど。台詞も、歴史小説にありがちな堅苦しいものではなく、読みやすい。フェントンの、悪魔と契約してしまうほど三百年前の女性の肖像画に惚れ込みよう。遡った過去には姪にそっくりな女性メグがいたこと。そして、ちょっとなんだかなあ、のラスト。内容としては突っ込みどころがたくさんあるのだが、それもまた面白の一つということで。2022/12/15
雪紫
44
電子書籍にて読了。1675年6月10日、準男爵夫人は毒で死ぬ。ーー1925年、夫と同姓同名の歴史学者はその謎を解き彼女の死を防ぐために、悪魔と契約して夫の肉体に憑依したのだが・・・。ミステリのクオリティー(途中の毒殺未遂トリック含め)、濃密歴史、迫力の剣戟、陰謀、お約束ロマンス差し引いても今の若い世代のひと達が愛する要素ぎゅぎゅっと詰め込んでるってどういうこと。カーはどんだけ遥か未来の先見性あったのよ・・・。後日談ないことが悔やまれる。謎も犯人もわかったけど(騙されたー!)、もう少し続けても良かったのよ。2025/10/31
koma-inu
37
カーの歴史SFミステリ。悪魔と契約したフェントン教授が、300年前にタイムスリップ、同姓同名の貴族に乗り移り、妻の毒殺事件を事前に防ごうとする。歴史を変える事は出来るのか?悪魔との交渉シーン、タイムスリップシーンが異様に淡白なのが、カーらしくて微笑ましい。タイムリープミステリに慣れた人なら、毒殺犯やトリックは予想がつくかも。70年前の作品であると考えると、パイオニア的な内容と感じました。これを書けるカー、すごいな。ポジティブとネガティブ混在のエピローグにしみじみと。2026/01/02
本木英朗
26
最近は空前のカーブームなので僕もその尻馬に乗って未読の作品をいっぱい買ってしまったのですが、これは後期カーお得意の歴史ものです。17世紀ロンドン、王政復古後のスチュアート王朝統治下、セントジェイムズ宮殿のそばに暮らす王党派の騎士、サー・ニコラス・フェントンの邸で、彼の妻リディアが何者かに毒殺されました。真相は不明のまま、月日は流れ1957年。かつてのフェントン卿の邸に暮らすのは彼と同名の歴史学者ニコラス・フェントンでした。(→)
みっぴー
26
「ちょっと300年前に行って事件解決してくる」と言って悪魔と契約して17世紀に旅立った歴史学者。カーらしいぶっとんだ設定ですが、HM卿もフェル博士も出てきません。ミステリより、サスペンス寄りかな?と感じました。500p超、少し長めですが、決闘や政治、宗教対立など盛りだくさんで、全く飽きさせません。最後に明かされる犯人の正体、やはりカーは何を書かせても一流だなぁと再確認。作中の悪魔が軽すぎて笑えました!2015/07/26




