内容説明
ちっちゃい赤ん坊だった準子が嫁に行くんだぞ――男手一つで育てた娘を嫁がせる「結婚しようよ」。あの主人公が同年代の54歳と知って愕然とする「磯野波平を探して」。もはや見ないふりできない肥満解消のため家族でダイエットに励む「肉村さん一家176kg」他。短編の名手による、笑って泣ける7つの家族の物語。
目次
結婚しようよ
磯野波平を探して
肉村さん一家176kg
住宅見学会
プラスチック・ファミリー
しりとりの、り
家族写真
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
204
荻原さん得意技の人情劇が7編、家族をテーマに涙あり笑いありで描かれている。初っ端の『結婚しようよ』でやられた!定年間際の男が一人娘と二人暮らししている話だが、年頃の娘を持つ身には反則と感じるくらいツボにハマる…娘が嫁ぐまでの過程、亡き妻を思い出すシーン…何度も笑ったり泣いたりさせられた。『磯野波平を探して』も笑いつつシンミリと考えてしまったし『プラスチック・ファミリー』には切ない思い出が蘇った。台詞だけの構成で家族関係が楽しめる『しりとりの、り』も巧い。中年男性にとっては、頷く事ばかりの名短編集だと思う。2018/12/10
おしゃべりメガネ
175
すっかり読んだ気になっていて、自分としては再読のつもりで読んでましたが、実は初読だった本作です。表題作はしっかりと荻原節をきかせてくれて、ちょっと歪みのあった家族の再生を温かく綴ってくれていました。他6編からなる短編集ですが、自分の読んだタイミングが悪いのか、思っていたよりはちょっとヒューマニティが薄味気味に感じられ、少し残念だったかなと。個人的にはもっとココロを温かくしてほしかったのですが、サラッとした感じでした。しかし、そんなに深くはないトコが本作のいいトコなのかもしれません。これはこれで良しですね。2020/01/11
やっさん
140
★★★☆ 短篇。閉塞感に悩む中年男やカッコ悪いお父さんの話が多い。6作目のしりとりの話、最初は声を出して笑ったけど、話が進めば進むほど笑えない展開に・・・。こんなに切ないしりとりあるのか・・・。2023/08/26
オリーブ子
119
夫の推薦図書。家族をテーマに、短編が7つ。まぁまぁの、なんで作品にしたの?な話もあるけど、いい話もあるというのが推薦文で。短編なので旅先で読みやすいと貸してくれた物。 私は最初の「結婚しようよ」でやられた。なにせ59歳で亡くなった母の名前が、定年を前にした主人公の、16年前に亡くなった奥さんの名前と一緒なんだもの。父はずっとどう思ってきたのか、すっかり感情移入しちゃった。 どの作品も面白かった。特にラストの「家族写真」かな。家族って、秘密があったり、すべて語り合えなくても、いいもんだと思います。2017/01/24
にいにい
112
砂の王国以来の荻原浩さん。いろんな家族を扱った7篇の短編集。ひとつとして同じ家族はないでも、似たような事に悩む。そんな家族のひとときを切り取った一冊。いろいろあるが、最後にフッと明かりや微笑みが差し込み勇気をくれる、ほのかな優しさが残る作品群。ブラック気味な「プラスチックファミリー」や「住宅見学会」、 ハッピー三列シートに意外性を秘めた「しりとりの、り」、ホロリとなる「結婚しようよ」や「家族写真」好きだ。「肉村さん~」は笑っちゃうけど、そんな場合ではないかも。「人生やり直すのに遅すぎるということはない」2015/06/24
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