内容説明
「中村修と羽生善治の対局の有様は、今でもよく覚えている。それは終った後に、となりで指していた中原が、帰りがけに『谷川名人も長くないな』と言ったからである」(あとがきより)
1985年12月18日、羽生善治四段昇段。天才少年はデビュー1戦目を△4五銀の妙手で飾り、それからも好手、妙手を連発し8割近い勝率で勝ち続けた。そして驚くべきは天才少年は一人ではなかったこと。佐藤康光、森内俊之が立て続けにプロ棋界に参戦し、こちらも鮮烈なデビューを飾る。さらに「寄せは村山に聞け」とその名を轟かせた、西の天才・村山聖。先崎学、丸山忠久、郷田真隆・・・。のちに「羽生世代」と呼ばれる若者たちが一つの群れとなって将棋界を席巻したのがこの時代である。新四段が次々に棋戦優勝を果たし、タイトル挑戦を決める。順位戦を駆け上がっていく。それまで将棋界で暮らしてきた者たちにとって、彼らの暴力的な強さ、その衝撃はいかほどのものだったか。本書ではその疾風の有様を将棋界内部から捉え続けた河口俊彦七段の連載「対局日誌」で振り返るものである。今なお続く「羽生世代の衝撃」。将棋界にとって空前にして絶後であろう奇跡の世代の原点がここにある。
※ご注意 本書は日本将棋連盟発行の「将棋マガジン」昭和61年4月号~平成4年5月号で連載された「対局日誌」から一部を抜粋して再編集したものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ランフランコ
6
この本は棋譜を眺めて楽しむ本だ。と読み始めてすぐ気付いたがもうあとの祭りだ。ど素人の俺が真剣に棋譜を検討してたら1年経っても読み終わらない。またしても通販でタイトルに惹かれての衝動買いのツケが回った。棋譜をほぼスルーして読むと、クリープを入れないコーヒーならぬ、コーヒーを入れないクリープみたいになる。そらもう味わいもクソもない。「なんせ羽生達は凄いんだぜ。どう凄いかは知らんけど。」みたいな感想になる。俺には過ぎた本だが、読む人が読めば名著らしい。でも「藤井世代の衝撃」とか出たら懲りずにまた買うかもだな。2018/10/23
glaciers courtesy
3
川口俊彦の対局日誌から羽生世代に関する記事を集めたもの。新しく書かれているのはあとがきだけで、新しい考察があるわけではないのだが羽生世代デビュー当時の雰囲気が伝わってくる。今となっては驚きだが、中村、高橋、森下というところとまずは比較されている。大山、中原との比較論はまだほとんど無い。それでも、羽生世代の「チャイルドブランド」を他の棋士が一目も二目も置き、また例え相手が時の名人の中原であっても、勝って内容が悪いと嘆く佐藤康光の話が出てきたり、過去とは全く地続きではない将棋史が始まったことが実感できるのだ。2015/02/08
さとうはな
2
ちょこちょこと先崎少年が出てくるのが味わい深いと思ったところで、先崎が体調不良で公式戦不戦敗との情報。大丈夫なのだろうか。「あとがき」に藤井聡太少年のことが書かれており、驚き。2017/08/02
atog2_435
2
この本は、河口俊彦さん(先日亡くなりました)のライフワーク的な名著、対局日誌から当時、チャイルドブランドと言われた羽生・森内・佐藤などが登場してきた時代のものを抜粋した作品です。これを読むと改めて対局日誌を読みたくなりますね。対局日誌は図書館で2回も借りた唯一の本ですが、これを読んで対局日誌は購入すべきであると確信致しました。羽生の対泉戦で△2八飛と打った局面は何度読み返したことか。2015/02/24
大典太
1
あえて今読んで見た『羽生世代の衝撃』 羽生「四段」のデビュー戦から載ってます。 「意外とたいしたことない」って周囲の評価をよそに、相手が間違える指し方を知っている、中原・谷川型ではなく、大山・米長型の天才と評したのは河口氏の慧眼ですかね。2019/04/06
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