ちくま新書<br> 平和憲法の深層

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ちくま新書
平和憲法の深層

  • 著者名:古関彰一【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2015/05発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480068279

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内容説明

改憲・護憲の谷間で、憲法第九条の基本的な文献である議事録は、驚くべきことにこの七〇年間ほとんど紹介されてこなかった。「戦争の放棄」と「平和憲法」は、直接には関係がないし、それをつくったのは、マッカーサーでも幣原首相でもなかった。その単純でない経過を初めて解き明かす。また「憲法はGHQの押し付け」と言われるが実際はどうだったか。「日本は平和国家」といつから言われてきたのか。「敗戦」を「終戦」に、「占領軍」を「進駐軍」と言い換えたのは誰が何のためだったか…などについて、日本国憲法誕生の経過を再現し、今日に至る根本的重大問題を再検討する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆう。

22
日本国憲法の特に第9条の成立過程を分析した本です。こんにち、安倍首相のもと、「積極的平和主義」など、「平和」という言葉が軽々しく論じられている傾向があります。しかし、日本国憲法の平和主義は、さまざまな歴史的経過を得て、今では日本国民(ピープル)に受け入れられており、そこでの「平和」はとても重いものだと思います。また「平和のうちに生存する権利」として自由権としてだけではなく生存権として憲法の平和主義が述べられているところは重要だと思いました。少々難しい本ですが、勉強になりました。2015/08/18

壱萬参仟縁

22
反省の書物でもある本書(010頁)。日本国憲法は国民を多用する(039頁)。だから自民党憲法草案書き替えたいのであろう。国民あってこその国家ではないと思っているらしいので。沖縄から見て日本国憲法は、沖縄県民を出発点から論外の存在としてきたことになる。その後の沖縄の基地への本土の無関心ぶりの源泉も、この辺にある(119頁)。昭和天皇の開戦詔書:平和を強調しつつ戦争は行われたという事実(203頁)。矛盾は否めないが。2015/05/29

coolflat

18
GHQからの押し付けだと言われる日本国憲法。昨今、鈴木安蔵の憲法調査会の草案が元であったといわれるようになってきた。それでもGHQからの押し付けだと言う人はいる。だが押し付けの象徴と言われる9条の"平和主義”が、憲法調査会案でもなく、GHQ案でもなく、実は日本人の手によって9条に挿入されたという事が明かされている。GHQは平和には触れずに「戦争の放棄」を起草した。日本政府もGHQ案に沿って平和に触れずに「戦争の放棄」を起草し、帝国議会に上程した。この段階では9条は戦争禁止の条文であり、平和主義はなかった。2015/08/15

skunk_c

9
ベテラン憲法学者が、新資料を含め、丹念に成立過程を追いつつ、「押しつけ」を主張する側の根拠の薄さを一刀両断、返す刀で「護憲派」の憲法制定後の「不作為」を切り捨てている。GHQが帝国憲法に似た構造で憲法を意図的に構想したこと、「平和」の文字はGHQ案にも原案にもなく、審議過程で加えられたことなど、資料の読み直しがいかに重要であるか。憲法9条の条文を巡るやりとりの中で、宮沢俊義が平和を理念に「押し込んだ」という指摘は特に興味深い。9条をもちながら世界有数の軍事力を備えるに至った遠因を解明されたような読後感。2015/08/16

かじやん0514

7
古関さんのこの本と、『安全保障とは何か』がそうなんだけど、冷戦が終わって戦争と平和の内容が変わった変わったとおっしゃるが、ならば、なんで冷戦が終わっても核兵器や軍事同盟がなくならないのか、古関さんなりの説明がほしい。 この本を書いたことで、憲法制定過程の全体像を見直さないといけなくなったそうで、その成果を見るのが楽しみである。2015/05/18

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