内容説明
貧困には(1)極端な貧困が存在する悲劇と(2)先進国の援助が現地に届いていない悲劇がある。本書は第2の悲劇を検証し、現地の人の生活を本当に改善する新しい援助の形を模索する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
香菜子(かなこ・Kanako)
32
傲慢な援助。ウィリアム・イースタリー先生の著書。貧困国、貧困状態にある貧しい人たちへの援助は正しいやり方でしないと何の問題解決にもつながらないし、自分勝手で自己中心的な傲慢な自己満足、傲慢な援助にしかならない。せっかくの援助が、単なる傲慢な自己満足、傲慢な援助に終わらないためにするべきことをきちんとしないと。2019/07/19
井上裕紀男
22
SDGsに掲げられた目標と現実との差が非常に気になっていますが、苦しむ国への援助活動については資金をつぎ込む先を改善し続けないと、一握りの政府関係者だけが富を得てしまう。 搾取してきた国のエリートが援助を考えるより、現地で活動する支援メンバーに権限を与えて、地元の人が自立する道を進むプランを進めてほしい。本書には根拠となる事例とデータがあります。 もちろん支援プランには必ず外部の評価機関からチェック。現地で栄養を摂る・教育を受ける大切さを知ってもらう。 読むと辛いけれども、同時に希望も抱く2021/05/23
人生ゴルディアス
5
世銀やIMFといった援助機関のお粗末な結果と、その原因を分析する。IMFはすでに経済制度が整った新興国の金融危機にはうまく対処できるが、貧困国の経済的な離陸に対してはほぼ無力であり、その理由は経済理論がどんな状況の国にも当てはまると考えているからであり(というかそういうことにまで自らの力が及ぶと過信している)、そういった傲慢さは失敗している援助機関ほぼすべてに見られるという。その土地の文化や慣習に沿って何かをしなさい、というのは当たり前のようだが、それが全くできていないことを延々と説明される。無力感。2018/03/03
kk
4
援助といえば国連機構が策定するユートピア的なプランが思い当たる。しかし、歴史が証明するとおり、これが途上国の開発に役立ったかは不明である。むしろ本著ではプランの策定ではなく、サーチャー的な現場主義を提唱している。援助の目的は途上国の発展ではなく、そこに住む人々の生活水準向上というのは然りと思った。2019/11/26
山口 公大
2
貧困支援を、支援額のような世間へのPRを主眼としたインプット情報で見るのではなく、科学的根拠を添えたアウトカムで見るべきで、そのためにもプランナーではなくてサーチャーに実行を任せるべきという論を展開する本。 詳細は下記。 https://note.com/t06901ky/n/n2570c2880c7f2021/05/31
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