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内容説明
地動説をめぐり教会と対立し、自説を撤回したガリレオだったが、幽閉生活で目が見えなくなっていくなか、じつは秘かに『新科学対話』を口述筆記させ、秘匿していたのだった……。ナチス支配下から冷戦までの状況下で描き続けられた“自伝的戯曲”であり、ブレヒト最後の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
molysk
40
動いているのは、太陽ではなく、地球である。地動説を支持するガリレオの研究は、神が創造された地球が、すべてのものの中心である、とする聖書への挑戦であった。宗教裁判で自説の破棄を強制され、異端者として生涯を監視の目の下で過ごすことになるも、理性の勝利を疑わないガリレオは、「新科学対話」を完成させて、弟子の手に託す。科学の使命は、貧困にある無知な大衆を解放することではないか?だが、権力者の脅迫に屈した自己を恥じるガリレオ。知識を人類の幸せのためだけに使う。この誓いを、ブレヒトはわれわれにも問いかけている。2020/08/02
巨峰
30
ガリレオ・ガリレイについては、子供の頃に伝記を読んで以来の再会で、なにかと新鮮でした。戯曲というより、優れた伝記であり、哲学書のように思いました。師弟の絆の強さがよかったです。2013/09/17
壱萬参仟縁
28
著者逝去の翌年1957年初出。ガリレオ曰く、うまいものを食っていると、一番いい考えが浮かぶんだよ。何と腐った時代だ!(56頁~)ベラルミーノ枢機卿曰く、理性は十分には行き渡らないものですよ、あなた。周りを見渡しても、誤りや犯罪、欠陥だらけ。真理など、どこにありますか? ガリレオ怒っていわく、私は理性を信じております(129頁)! ガリレオまた曰く、美徳というのは、貧困と結びついているわけではない。いまは痩せた畑から痩せた美徳しかつくられない。2015/01/16
りえこ
16
ガリレオの事は、あまり知らなかったので、興味深く読みました。2014/10/28
またの名
11
いろいろ言われてる光文社古典新訳の内でもとても成功した翻訳プロジェクトの一つが、ブレヒト新訳では。ベンヤミンが指摘するように民衆が本当の主役なら、これだけ読み易く新鮮な訳を得たのは本作にとって本望か。例のブレヒト・パネル(多分)が「偉大な人のすることが、すべて偉大というわけではない」と告げてから展開される望遠鏡の顛末などが語る、人間的に完璧に信頼できるかどうも怪しいガリレオの凡庸な人間性が、人類の歴史にまさしく驚天動地の大転回をもたらす真理への忠誠と旧弊的な社会との間の葛藤のドラマに昇華されるのは、圧巻。2015/05/22
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