内容説明
暗い冬の日、ひとりの少女が父親と霧の立ちこめるロンドンの寄宿制女学校にたどり着いた。少女セーラは最愛の父親と離れることを悲しむが、校長のミス・ミンチンは裕福な子女の入学を手放しで喜ぶ。ある日、父親が全財産を失い亡くなったという知らせが入る。孤児となったセーラは、召使いとしてこき使われるようになるが……。苦境に負けない少女を描く永遠の名作、待望の新訳!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
297
子供の頃、一家団欒の時がありました。その時に見ていたTVはアニメの『小公女セーラ』でした。子供だった自分はもちろんでしたが、大人の親たちも一緒に観照して悲喜こもごもな感情を味わったものです。とくに自分は両眼に大量の汗を溜めて見入ったのでした。アニメのクライマックスでミンチン先生が隣のカリスフォード氏の家に乗り込み、逆に慌てふためいて狼狽するシーンや、妹のアメリアにこっぴどく叱られるシーンではおおいに留飲を下げたものです。いま改めて読んでみると懐かしい子供頃を思い出します。2019/03/27
がらくたどん
61
一穂さんの『恋とか愛とかやさしさなら』の特に前半章を読んでいて思い出したので。ご存知幼くも賢い少女の過激なアップダウン人生を描く名作。ジュニア版だと寄宿舎で高待遇を受けていたセーラが父の没落で一気にメイドに降格されて虐められるも健気に頑張りまさかの富豪に救出される大筋が追われがちだが、「信じることの難しさ」の物語としても秀逸と思う。実はセーラは高待遇を受けていた時期から「自分は今たまたま幸せだから善い子なだけかもしれない」「だから自分を善い子だと過信しないでほしい」と悩むのだ。彼女の「プリンセスの→2025/02/20
おか
60
ずーっと昔に読んでいるが なんとなーくもう一度ちゃんと読んでみようかなと、、、昔 読んだ時ほど感涙にむせぶということはなかったが(老成しちゃったかなぁ(-_-;))それでも よかったね〜という心持ちに。そして 空想力、想像力は 誰にでも とっても必要な事だと 今一度 再確認した\(^-^)/2017/07/31
くたくた
51
子どものころ読んで、あまりぱっとした印象のなかったこの物語。いわずと知れた名作だけど、改めて読んだら印象が変わるかしら、と思って小公子とセットで入手した。で、読んでみたのだが。持ち前の気品と想像力で苦境を切り開く、という大変に美しいお話であるはずだが、想像力が行き過ぎていてほとんど妄想の域に達してるし、高貴というにはセーラの言動が鼻につくんだよなあ。やはり私は素直に読めなかったよ。なぜだ〜!2021/01/03
レモン
49
子どもの頃世界名作劇場をちらっと観てとても印象に残り、原作を読んだ本。ミンチン先生や料理長の壮絶なイジメに耐え、心の醜い同級生に嘲られても、自分をプリンセスと信じ清く貴い心を忘れないセーラが立派すぎて眩しい。隣人のかけた魔法や乞食の少女にぶどうパンを恵んであげるシーンが印象的。訳者が大人向けとして翻訳したとあるとおり、大人にこそ手に取ってほしい一冊。優しさに満ち溢れていて、とても心が温かくなる。こんな小説、もう現代では書かれないし書けないのでは。酒井駒子さん画のセーラもイメージぴったりでとても愛らしい。2022/05/10