内容説明
鳥羽湾に浮かぶ本郷島が舞台となった大ヒットアニメーション映画「鹿子の夏」のイベントを開催させるべく、島を訪れた5人。イベントに賛成している島民たちと話し合いを進めている矢先、メンバーの一人が他殺体となって発見される……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
🐾Yoko Omoto🐾
142
石持氏の代名詞とも言える特殊閉鎖空間が用いられていない珍しい作品。とは言え「月の扉」を思い起こさせるような島のカリスマ的実力者や飄々としていながら頭の切れる探偵役、加えて終盤の畳み掛けるような真相解明という石持氏らしさは健在。今作では、一つの事に夢中になって情熱を傾ける人たちのパワーを描く反面、傾倒し過ぎたり執着し過ぎたり(今作のモチーフで言うならアニメの主人公)ということが、現実の生活や自分自身に歪な影響を及ぼすまでになってしまうことの恐ろしさも描かれており、やけに生々しい真相だった。→(続)2015/08/10
ダイ@2019.11.2~一時休止
133
初読み作家さん。アニメイベント準備のために来た島でおこる事件。探偵役ってこの人なのって思ったが、オーソドックスなミステリーで面白かった。2014/12/17
ジンベエ親分
57
ある島を舞台にした「鹿子の夏」というアニメのファンが、その島でイベントを企画するために集まるが、その1人が殺害されて…というミステリー。その島の住人にアニメのヒロイン鹿子に生き写しの少女が存在して推理に捻りを与えているあたりが石持氏らしい。が、何というか石持浅海にしては切れ味が鈍いなぁ。犯人はともかく、重要な役回りになった人物の行動原理がもうひとつすっきり説明されていないこともあって、すべての種明かしが終わっても、最後までまだ何かあるのでは?という残尿感(笑)がつきまとう。石持作品では下位かな。2019/02/14
財布にジャック
56
犯人も動機も当たらなかったので負け惜しみで言う訳ではないのですが、この展開は無理があるのではと感じてしまいました。なんかしっくりとこないんです。このモヤモヤを晴らすような次作を期待します!2015/10/06
瑞佳
49
舞台が三重県の離島ってことで、県民としては問答無用でテンションが上がりまくる。しかも悲しい伝説を秘めたこの島は「身代わり島」とも呼ばれているそうな。その身代わり島で起こる不可解な事件。フィギュアの首がもがれたり、そのフィギュアと酷似した服装の女性が殺害されたりと、またもテンションは上がる。推理は相変わらずキリリと鋭く、石持作品に登場する探偵さんはみんなあまりにもキレ者すぎてちょっと恐い印象。そうかぁ。この本を手に取ったときから、すでにトラップは仕掛けられていたってことかぁ。2017/09/14