内容説明
この本の中心課題は、やはり、日本の敗戦後の政治のあり方である。吉田茂元首相が、要らぬ高踏戦術をとって、のらりくらりと、マッカーサー進駐軍を騙してかつ自己防衛のために、社会党などの国内の反戦平和勢力を、アメリカからの政治圧力に対して、楯として使って、アメリカにけしかけることをした。このために、かえってアメリカの手玉にとられて、日本は、おかしな憲法典だけでなく、日米安全保障条約と合衆国軍隊の地位に関する協定を、押しつけられて身動きのとれない国家にされてしまった。やっぱり、官僚政治化・吉田茂に最大の責任があったのだ、という結論にならざるを得ない。(本文より)このように戦後政治のほんとうの姿を描く圧巻の論考を始め、安保闘争について、丸山真男の死にあたって、など、著者ならではの重厚な考察が満載された論文集の待望の復刊である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
cronoq
1
副島さんの本を初めて読みました。なかなか刺激的な内容。もっと私たちは戦後史、特に昭和20~40年くらいの歴史を学びなおさないといけないかも。副島さんは高慢で自信過剰で苦手な人も多いみたいだけど、私には好印象。むしろ非常にナイーブな印象を受けた。異論を胸を張って唱える人は貴重。2010/09/27
グスタフ
1
日本は、世界覇権国であるアメリカの属国のひとつ。そのことの本当の意味について日本人で深く理解しているのは、自分だけだと、いつもながらの強い自負心に満ち溢れている。戦後政治史の1、2章で吉田茂が、戦後日本の舵取りを誤ってきたとの記述は、むしろ今だからこそ納得できる部分もある。ただ、この人が接近しているリバータリアニズムは福祉国家の全面否定につながるなど、取扱注意の考え方だとも思った。あと、小沢一郎はアメリカから認められた、日本国の正統の王って本当ですか???2010/09/12
ま~やん
0
新版になってもこれだけ書き足しが少ないということは、それだけ読む価値がある本という証拠だと思われる。最近、2、3年前の本を読む機会が増えてきたが、たった数年で書いてあることの嘘(もしくは浅はかで間違いだらけの予想)が露呈するような薄っぺらな内容の本が多い中で、唸らされた。2012/12/13
mi_ana_yam
0
2010年再版の本、戦後の話し(鳩山一郎、吉田茂)はまだ良しとしても、後半は、半端に古いですね。ただ、あまり政治思想に興味のなかった私には、著者の考え方も含め勉強になりました。福祉、や選挙権に対する考え方は、少々、過激ですが、一考の余地有りですね。2011/08/30
uju
0
とても読みやすい。しかし後半にかけてロスチャイルドが世界を動かしているetcの内容が立ち現れ始め、教養の無い僕には信じて良いのか判断がつかなかったりもしました。2011/04/16