内容説明
戦慄の本格ホラー推理!山深い村に蔓延る恐怖の連続! 神々櫛(かがぐし)村。谺呀治(かがち)家と神櫛(かみぐし)家、2つの旧家が微妙な関係で並び立ち、神隠しを始めとする無数の怪異に彩られた場所である。戦争からそう遠くない昭和の年、ある怪奇幻想作家がこの地を訪れてまもなく、最初の怪死事件が起こる。本格ミステリーとホラーの魅力が圧倒的世界観で迫る「刀城言耶(とうじょうげんや)」シリーズ第1長編。
目次
はじめに
神々櫛村絵図
壱 巫神堂
弐 上屋の奥座敷
参 隠居所
肆 邑寿川
伍 上屋の客間
陸 行き逢い筋
シチ 巫神堂
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
326
このシリーズは大好きです。横溝不在を埋める代替的なニュアンスもたしかにありますが。本格としての質はより現代的。刀城シリーズ第一段のコレは、読みにくいというレビューも良く見かけますが、それほどは感じませんでした。そして私自身に問題があるのかもしれませんが、良く言われるほど怖くもありません。解決編の盛り上げ方は好きな人は好きかもしれませんが、私はもっとオーソドックスな犯人指摘で良いと感じるタイプです。
青乃108号
274
刀城言耶シリーズ第一作。僻村の二つの名家の複雑な家柄から発し、村全体に伝わる「厭魅」に纏わる禍々しい伝承と怪異。そして始まる、連続殺人。興味深い本ではあるが、決して読みやすいものではない。憑き物と祓いに関わる「黒」の家と対立する「白」の家。両家の家系は大変複雑に絡みあっており、冒頭の家系図を何度も確認しないと訳がわからなくなる。無駄な部分は一切ないにも関わらず600ページ超の長さ。憑かれた。いや、疲れた。一連の事件は刀城言耶の多重推理を経て一応の論理的解決をみるのだが、実は全てを「厭魅」が…怖い怖い。2024/03/18
勇波
205
今年から刀城言耶シリーズに挑戦です。濃い…ひたすら濃い。伏線が散りばめられてるというレベルではなく、伏線で物語が出来上がっている感じです。最後の最後でのその回収は圧巻。読後の余韻も言うことなしです。。早いうちに「凶鳥」へ行きます★2015/01/28
nobby
203
いやはや、難解な人物相関や因習の手強さと生霊や厭魅など怪異描写の恐ろしさ際立つ有数のホラーから、終盤で見事に極上ミステリへの変貌が圧巻!神隠しに憑き物、禁忌の山にはナガボウズ、その村の至る所で見守るのはカカシ様。何よりサギリという名の世襲や一族間で入り混じる婚姻関係など、過剰なほど複雑に盛り込まれる事柄の羅列には正直ついていくので精一杯…ただ、これが真相解明モードに入った途端、二転三転いや、それ以上に振り回されるのが爽快!大筋はあえて多くを語られずに、気付けば何から何まで伏線回収されているのがたまらない!2019/07/08
しんたろー
190
刀城言耶シリーズ第1作。3作目『首無の如き祟るもの』が 傑作なので期待したが、本作は練れていない感じ…読めない地名や凝った漢字表記に悩まされ、肝心のストーリー理解の邪魔をする。更に、全体の1/3まで現実事件が起こらないのもキツイ。それでも、独特の世界観とホラー要素の面白さで興味は惹かれた。事件が起きてからは鈍行が特急に変身したようなスピード感で一気読みできるので、それまでの停滞が勿体ない。特に終盤のドンデン返し連発はお見事なので、100ページ位削ぎ落とせば快作になると思った。時間をおいて他作品も読みたい♫2018/02/22