文春文庫<br> 夕暮れをすぎて

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文春文庫
夕暮れをすぎて

  • ISBN:9784167705787

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内容説明

巨匠キングが贈る不思議と感動の物語

ごく普通の人々の人生に訪れる不思議。切ない悲しみの待つ結末、あるいは血の凍るような恐怖。巨匠の才能を堪能できる最新短篇集

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tetchy

131
この頃のキング作品に散見されるのが9・11の同時多発テロだ。『セル』や『リーシーの物語』でもこのテロが引き合いに出されていたし、本書でもそれを想起させるもの、テロそのものを扱った作品もある。「彼らが残したもの」はまさにこのテロの犠牲者への鎮魂歌のような作品で、これが本書におけるベスト。このような作品を書くこと自体、作家にとって現実に起こった大量死によってもたらされた多大なるショックを解消するためのセラピーでもあったのだろう。創作の泉まだ涸れずといった、彼しか書けないような作品が揃っている作品集であった。2024/05/15

KAZOO

113
短編作品集を日本では2冊に分けて出版したようです。短編とは言いながらもキングらしさがあふれる作品集になっています。「ジンジャーブレッド・ガール」はこの中ではかなり印象に残りました。またブラッドベリのような印象の作品もありました。後半の作品集も引き続き読もうという気が起こりました。2018/12/14

絹恵

55
夕暮れをすぎて、空気が変わり始める瞬間を切り取った短篇集。全篇を通して、"向き合うこと"が表現されていると感じました。特に『彼らが残したもの』では、9.11に向き合うとき、やはり最後に辿り着く感情は甘さとは違う優しさなのだと思いました。そして夢が現実を侵食するその光景は、昼と夜が向き合って夜が世界を染め上げるそれに似て。2015/06/21

yutaro13

52
キングの第五短編集その1。印象に残るのは中編サイコサスペンスの「ジンジャーブレッド・ガール」。主人公の父親が働くのは「大学のモータープールの事務所」なのだが、駐車場をモータープールというのは和製英語ならぬ大阪英語、だから翻訳者は大阪出身だろうと思ったらなんと東京の人。じゃあと思って原文を調べると案の定motor pool。辞書にはないが、アメリカの大学にあるレンタカーや送迎サービスを行う施設をmotor poolと呼ぶらしい。カタカナだとニュアンスが違う気もするが、かといって他にいい訳も思いつかぬ。2021/04/05

kariya

47
短編でもキングはすごい。身勝手な娘に振り回される青年の悲喜劇が意外な結末と風変わりな余韻を残す「ウィラ」に始まり、子供を亡くし傷心の母親が思いがけない危機に独り立ち向かう、これはキングの面目躍如たる「ジンジャーブレッド・ガール」、小品ながら静かで明るい諦念が胸を打つ「卒業の午後」と、収録作の彩りも様々。長編ほどの膂力を読み手に課さなくとも、さらりと読み流せる作品は一本もない。とりわけ、”あの”事件後に失われた筈の品々の訪れを受けた男の困惑を描く「彼らが残したもの」の悼みの響きは、深く重い。2009/11/23

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