内容説明
エクリチュールの経験はパッション以外のものではない――デリダやブランショ、ドゥルーズを援用しながら思考し続けた著者渾身の論文集。精神分析をめぐる論文、パウル・ツェランや吉増剛造、宮澤賢治、アンドレ・ブルトン、ロートレアモンを取り扱った書評や論考、書き下ろしとなる人種主義についての批判的考察を所収。
目次
Ⅰ 脱構築の射程
散種としての翻訳――多言語性と脱-備給
秘密からパッションへ――デリダにおける文学の問いと来たるべき民主主義
「秘密」をめぐる断片――? la me?moire de J. D.
場/名――デリダによる「コーラ」をめぐって
歴史、断ち切られる空虚――『ベルリン・ユダヤ博物館』のための断片×3
隔たり・イマージュ・忘却――デリダによるブランショ
Ⅱ 精神分析の余白に
子供の情景――痛み・これ・リトルネロ
アリアドネ―の奸策
Ⅲ 特異性たちのポエティックス
詩と国境――民族・翻訳・宛先
声・文法・文字――吉増剛造のために
二人、あるいは喪の光景――宮澤賢治における倫理の問い
共-存在の宛先――J=L・ナンシーのための断片
弔いの政治――反=教科書的教育装置としての『アンティゴネー』
ブルトンにおける〈近代〉――有限性の問い、偶然性の問い
怪物の身体――ロートレアモンと古代唯物論
Ⅳ 人種主義の問い
ネイションと内的「差異」――天皇制イデオロギーのもとでの在日朝鮮人