内容説明
大正11年に来日したアインシュタイン博士が肌身離さず大切にしていたバイオリンが盗まれた! 騒ぎにならないように取り戻してほしいという博士の依頼に、招聘元の改造社が白羽の矢を立てたのは早稲田大学の等々力教授。博士とも意気投合した天才言語学者の推理が冴える。『ジャズと落語とワン公と』を改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小説を最初に書いた人にありがとう
68
エンターテイメントなのか、楽しめたと言えば楽しめたけど、不思議な話ですね。大正ロマンの時代の早稲田大学教授が探偵をして事件解決。登場人物が大物ばかり、それもほんとの話のような書き方。えっ、ほんとの話なんですかね。Wikipediaで調べてみようと思ってしまう物語でした。2015/04/21
Walhalla
32
大正後期から昭和初期の頃、歴史上の偉人が登場するミステリー作品でした。どこからどこまでが史実なのか、とても興味があります。あとがきで「大正はデモクラシーとモダン文化が開花した、ミステリーにふさわしい時代だったと思うのです」と著者がおっしゃっているように、大正ロマンな雰囲気が漂うなか、質の良い物語だったと思います。ところどころに出てくるお料理がとても美味しそうで、普段から口にしているものまで特別な逸品に思えるから面白いですね。2022/05/12
六花
7
大正12年。早稲田大学の等々力教授と助手の井上君が、アインシュタインの盗まれたバイオリン探しを頼まれたり、ハチ公と共に泥棒退治したりするシャーロックホームズを彷彿とさせるミステリ。タイトルと装丁から真面目な話なのかなと思ったけど、意外とコミカル。飄々と謎を解く等々力教授。たまに抜けてるところが可愛い。カツ丼はこの時代に生まれたのか。ロシヤ料理やどら焼き。ところどころに出てくる食べ物が美味しそうだったなぁ(= ̄ ρ ̄=)2016/06/26
miki
2
以前も赤井作品を読んでいたのでテイストの違いにややびっくりしつつ読了(作者もあとがきでそう触れていますが)。軽ーくよめる短編連作。新しい文化が根付き始めた大正時代に活躍する探偵もどきの大学教授。謎解きの面白さではなく、単純に読み物として面白かった。実在の地名、人名、社名などが頻繁に登場するので、思わず主人公の等々力教授も実在するかと錯覚してしまう。それにしても、まさか忠犬ハチ公まで出てくるとは。。。2015/05/14
Killer "Joe"
1
あとがきの中で作者が「他の作品に接した方は、作風の違いに意外感を持たれたかもしれません」と書いているように、先に読了した『翳りゆく夏』とは明らかに違います。3話からなる連続?短編集で時代設定は大正後期から昭和初期ですが、読みにくさはなく、むしろ当時の早稲田、神田、浅草界隈の情景が上手く書かれています。また、かつ丼、チューインガム、ピロシキなど、当時はまだ珍しかった食べ物や、アインシュタイン、幣原喜重郎、柳家金五楼、忠犬ハチ公等も登場します。謎解きはやや都合がよすぎるかな?とは思いますが、十分に楽しめます。2016/07/05