内容説明
ダム建設労働者の松戸与三が、セメント樽の中から発見した手紙には、ある凄惨な事件の顛末が書かれていた。教科書で読んだ有名な表題作他、小林多喜二にも影響を与えた幻の作家・葉山嘉樹の作品8編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろちゃん
72
若干怖い。訴えかけるものがある。2016/01/11
こばまり
57
ひぃぃぃぃぃ。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいと誰彼構わず許しを請いたくなる。特に「セメント樽の中の手紙」と「淫売婦」の恐ろしさよ。作家の人生も重なって。裏表紙にはワーキングプア文学との惹句があるがプロレタリアとするよりも多くの読者を獲得しそうだ。2016/05/20
鷺@みんさー
35
教科書に載っていたりして、知ってる人も多いと思うこの作品、プロレタリア文学というより、怪奇小説(ホラー、ではなく怪奇小説)として読んだ。ゾッとしたあの瞬間が忘れられず。表題作はとても短いのに本当に恐ろしいので、時々読み返す。手紙の女性に共感する部分もあり、切ない怖さをしみじみと味わえる。好きだ。
逢沢伊月
29
悲惨な現実を知ることになっても たまたまだとか、それが普通だとか、自分はまだましだとかいう思いが心のどこかで自分自身を縛りつけて これまでの生活から抜け出そうと何かを変えようと行動に移すということが出来ないのは、今も昔も変わらないのかもしれない2024/05/01
neimu
28
言わずと知れたプロレタリア文学の作品、教科書に良く出てくる。何だか表紙を見ているだけで、暗い気分に襲われる。でも、まあ、今の世の中の労働状況も「あなたもお気を付けなさいませ」と実際あんまり変わらない。そういう風に読むと、時代が変わっても労働者の状況は変わらないんだなと実感させられる。明日は我が身かと。