内容説明
1986年から2011年まで、26年間にわたって行なわれた精神科病院での講演録。現場の臨床の真っ只中で常によりよい治療に向けての工夫を重ねてきた著者の、新しい技法発想の萌芽と展開が一望でき、多数の著書の解説としても読める。「誤診と誤治療」をはじめ、「精神療法におけるセントラルドグマの効用」「問題点の指摘の仕方」「臨床力を育てる方策」「フラッシュバックの治療」「双方向性の視点」「治療者の偏見」など、どの講義内容も示唆と警鐘と破格におもしろいアイディアに満ちている。
目次
サポートについて
精神療法におけるセントラルドグマの効用
問題点の指摘の仕方
痴呆老人の看護
私たちの精神健康法
粘り強い心をつくる
対話精神療法の初心者のために
共感について
知ること、知らせること
SSRIが登場してからの連想〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
50
【やっぱり、先生は凄い!】1986年から26年間の精神科病院での講演録。現場臨床の真っ只中で、より良い治療に向けて工夫を重ねてきた著者の、新しい技法発想の萌芽と展開が一望できる。「誤診と誤治療」「精神療法におけるセントラルドグマの効用」「問題点の指摘の仕方」「臨床力を育てる方策」「フラッシュバックの治療」「治療者の偏見」などを収録。特に「双方向性の視点」が、先生の面目躍如。<九大の先生は、最新式のパワーポイントを使ってやったんです。結果は著しくつまらない。予想外に面白くなかった>。言いたいこと、わかる。⇒2023/01/25
rors(セナ)
15
「共感について」の章にあった「アイデンティティの確立」を読んだ時に、ものすごい「気づき」が湧き上がった。自分の思考のクセと、壮大な勘違い!その感覚がこんなに幸せな気持ちになるのかとびっくり。やはり私は身体的な病気から、鬱病を拗らせていたよう。いやはや、神田橋先生、恐るべし。完全に鬱から抜けたように思う。世界の明るさが全く違う。この本の中にも書いてあったけれど、自分で気づく事が大事なんだ…。 読メでいつもオススメ本を教えて頂いているgenさんがこの本に導いて下さった。感謝しています。2023/04/07
ふにゃ
4
とても良い本です。「トンデモ脳科学」(p252)の要素あり。名人技。漢方薬やツボについても言及。/安定と不安定(p67)、ことばとイメージ(p36)、両方のバランスをとると良い。共感は自分の相手についての「思い込み」が壊れるときに生じる(p106)。「思い込み」の段階にしがみつくのは境界例(p111)。2013/07/31
つなぐ
3
講演録なので、凝った言い回しなどなくとても読みやすいです。著者自身も認めているように、オカルト的な部分もあったり、薬を患者に自己調整させて薬が効いている事を実感させるなんて、なかなか怖くて真似できるものじゃないです。でも、この著者は深いところで精神科で必要な自然治癒力を引き出す関わり、広い意味での精神療法をしっかりと捉えているので、やっぱり参考になる部分が沢山あります。例えば、日本の精神療法は地域の付き合いがある人だと思って、また自分の住む地域に帰っていく人だと思って関わらないといけないなんて部分です2018/04/21
tekesuta
2
精神医学に限らず、医療のマニュアル化とデジタル化について憂慮する先生。マニュアルはレベルを一定にするためには有効だけど、優秀なものまでレベルを引き下げてしまうという。確かに名人の技というのはマニュアル化できない。もっと自分自身で工夫していって欲しいのだな、という思いを持った。それにしても話がかなり似非科学に近似していてどこまで信じていいものやら、というかこういう話は信じるとかそういうことじゃないのかもしれないけど。でも面白かった。 2013/03/15
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