「衝動」に支配される世界

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「衝動」に支配される世界

  • ISBN:9784478029305

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内容説明

かつて経済発展は社会全体の利益をもたらしていた。しかし、個人、企業そして政治までが近視眼的で自己中心的に振る舞うインパルス・ソサエティでは、富は奪い合うものでしかない。その結果、社会全体は消耗し、もはや持続不可能となりつつある。この現状からいかにして脱却を図り、どんな社会を目指していくべきなのか。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

5 よういち

91
消費者が欲しがるものを与えることに長けた社会システムは、個人の願望を真ん中に据えたものになっている。消費者が飽くなき満足感を追い求めた結果だ。自分探しやアイデンティティの探求を続けた結果、それは度を超えた自己満足の追及に変わっていった。すぐに手に入れないと気が済まず、行き過ぎを制止できなくっている。人間の意志決定プロセスは脳内で、買い過ぎた結果、あとでどうなるかを予測できる『前頭前皮質』と、欲しいものを見たらドーパミンを出して、すぐに行動させる『辺縁系』とが争うが、前頭前皮質に辺縁系を抑制する力はない。2019/07/23

壱萬参仟縁

32
14年初出。市場が人間との間の障壁をすべて破壊する、最終段階に来ている(17頁)との認識をもつべき時のようだ。衝動がどんな社会を作り出し、どんな社会問題を生むのか、興味深い一冊だ。感情では事足りず、衝動という不安定かつ不確実な人間の心理、神経が経済の姿を決める。成員の 質が問われるところだろうか? 自分自身への関心と個人の自由への期待が高まるなか、集団的な行動が意味をなさなくなっていった(84頁)。エゴの社会化とも言える。2015/07/09

Tui

28
たとえば通信手段。手紙から電話、そしてSNSと、私たちは待てなくなる一方だ。いつの間にかインパルス・ソサエティ(衝動的な社会)に慣らされている。私たちが望んだのか、望むよう誘導されたのか。便利になっても満足を決して得られず、さらによいものを欲してしまう。今の快楽や利益を何よりも重要視する、長い目で物事を考えることがされにくい世の中。衝動的な消費社会の先にある絶望的な未来を変えるには?消費し続けなくても継続可能な社会とは?残念ながら、環境異変によって強制的に変わらざるを得ない展開しか、私には思いつかない。2016/12/06

ののまる

16
それが必要か、ではなく今すぐ欲しいから買ってしまう。まるでゲームにはまった廃人のような繰り返し。そして消費が政治を飲み込み、個人の感情も生活も社会そのものも、市場原理に左右されている…ことにも気づかず、とにかく今がよければと過ごす現代。アメリカ社会について書かれているけれど、日本も同じ道を邁進している。消費爆発を起こしている先進国は,一度勇気をもって立ち止まるべき。2016/01/23

kubottar

16
私が小中学生の頃は、本屋で本を注文すると2ヶ月かかったことがあった。しかし今やアマゾンでクリックぽんで2日で届く。そのタイムラグの差を嬉しいと思うか、待つ楽しさを奪われているとみるか・・。2015/12/13

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