内容説明
有栖川有栖、山本弘、樋口真嗣、園子温ほか、稀代の怪獣マニアたちの筆が生み出すオリジナル怪獣が縦横無尽に暴れまわる夢の競作集。『GODZILLA』『寄生獣』などに参加した田島光二による装画も圧巻!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まりお
70
怪獣への恐れ、怖さ、それらを含んだ魅力を綴った短編集。好みなのは「怪獣チェイサー」「聖獣戦記 白い影」。怪獣がいることが当たり前な世界と、古い歴史の裏側には怪獣の影がある世界。この世界観が好き。2017/05/28
Bugsy Malone
58
名だたる作家や著名人達の怪獣愛を詰め込んだ一冊。どの短編も面白い。ただ1編あたりのページ数が少なく勿体無い印象を受けた。「怪獣二十六号」は小説としても読んでみたい。「怪獣チェイサー」「廃都の怪神」その迫力と疾走感が堪らず「ブリラが来た夜」「黒い虹」は怪獣との宿命や運命が非常に恐ろしく描かれている。続く「怪獣の夢」「孤独な怪獣」については作品自体は面白いのだが少々違和感が拭えず「トウキョウデスワーム」「聖獣戦記白い影」に至り自然が神となりその怒りが怪獣となる様を見せつけられた。やはり怪獣は恐ろしい方がいい。2015/07/20
sin
56
“怪獣”と“文藝”を冠された奇天烈なタイトルは生真面目に受け取ると両立する訳もなく思えてしまうが、その影響はそれを意識した一部の作品に影を落としているように感じられた。ただ怪獣に託す青臭いともいえる情熱を持った作品に対しては自分自身が共感してしまっていることは事実として在って、何よりも本書を読んでいる時間は本当に楽しいひと時であった。ひとつ我儘を云えばビジュアルが欲しい!怪獣の姿を自分の中で描き出すのは造作がないことではあるが他人の感じ取った怪獣の絵姿を見てみたい(w^)2015/04/02
まえすとろ
44
2013年に刊行された「怪獣文藝」の続編として怪獣と怪獣が跋扈する世界をこよなく愛する映画監督、コンセプト・デザイナー、脚本家、小説家による持ち前のセンスを生かして書き上げた怪獣短編小説で構成したアンソロジー集の第2弾。前作が怪異な世界観をメインテーマに据えてたスリラーやホラー色の強い怪奇小説作品集としての仕上がりが≪怪獣小説≫を期待した読者の評価を二分した結果を踏まえ、今回はダイナミックに怪獣の暴れまわるストーリーに焦点を当てたビジュアル的な9話から成る小説版の豪華!怪獣『幕の内弁当』はとても旨かった。2015/03/27
まえすとろ
38
面白くて即再読の怪獣小説短編集。どれも甲乙つけがたい個性豊かな作品の中でも幼少の頃、砂場でソフビの怪獣人形を使って遊んでいた時、脳内のビジュアルはデフォルメされた人形ではなく巨大な怪獣だった。≪あの感覚≫を再度体現させてくれた大倉崇裕著「怪獣チェイサー」、『ゴジラ』の原作者香山滋の秘境怪奇冒険譚をオマージュした山本弘著「廃都の怪神」、日本人の血の中に住む≪怪獣≫をリアルに描きだした梶尾真治著「ブリラが来た夜」、正統派SF怪獣ホラーの傑作、田忠司著「黒い虹」は特にお気に入り。次回作は中編小説集で読みたい。2015/04/01