内容説明
「昔々あるところに……」人から人へ、親から子へと語りつがれた昔話や民話には、同じ話でも、語られる地域によって、いくつもバリエーションがある。さらに、その実態はわれわれの知る物語と大きく異なることもある。なぜならば、初期に語られた物語には、あまりに残酷なもの、あまりに淫猥なものがいくつもあるのだ。そして、そうした場面は、伝えられるうちにカットされたり、変更されたりして、封印されてしまったからだ。なじみ深い日本の昔話が、本当はどんな話だったのか? 本書では、この国に伝わる有名な民話を検証し、その裏に隠されている生々しい実話を浮き彫りにしていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みどりのいうら。
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描写を柔らかい表現に置き換えたりしてまで子供たちに語り伝えられたのは教訓のためでは無いと思う。娯楽の少ない地方の寒村ではこうした語りが、ほとんど唯一の日常における娯楽だった。語る側は相手を楽しませるべく工夫に工夫を重ねていったのだろう。地方で差があるのはそれらの地方のナンバーワン語り部が独自の面白味を加えたから。教訓というのは勝手な解釈だとおもう。2017/08/22
廃
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16編の民話について、子供向けにデフォルメされることも多いそのオリジナルはかくのごとく残酷また性的であった、その背景にこういう社会があった、というまとめ集である。歴史を庶民の生活実態から観るといえばそうでありそれなりに面白いが気楽に読むと良い。本格的には民俗学の対象なのだろう。現代の道徳観では語れない世界がそこにはあった。2015/08/30