創元推理文庫<br> だれがコマドリを殺したのか?

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創元推理文庫
だれがコマドリを殺したのか?

  • ISBN:9784488111052

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内容説明

医師のノートン・ペラムは、海岸の遊歩道で美貌の女性に出会い、一瞬にして心を奪われた。彼女の名はダイアナ、あだ名は“コマドリ”――。ノートンは、踏みだしかけていた成功への道から外れることを決意し、燃えあがる恋の炎に身を投じる。それが予測不可能な数奇な物語の始まりと知るよしもなく……。さながら美麗な万華鏡を覗くかのように、目まぐるしくその姿を変える事件。『赤毛のレドメイン家』の巨匠フィルポッツの魅力が凝縮された、ミステリ史に残る名編が、読みやすい新訳でここによみがえる。この結末に、あなたは驚かずにはいられない!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tetchy

119
幻の名作は実際のところ眉唾物であることが多い。名作ならば版を重ね、現代にまで読み継がれているからだ。さほど期待せずに読んだがこれが意外と、いや実に面白かった。いやはや読み始めと読み終わりの抱く印象がこれほどガラリと変わる作品も珍しい。男女の愛憎劇にとんでもないサプライズまで仕掛けられている本書が50年以上も絶版だったのは何とも不思議だ。正直高を括っていたが、今でも本書に描かれる男女の機微、運命の皮肉、そして最後に感じられる女性の恐ろしさは現代でも十分読ませる。今こうやって新訳で読める事を改めて嬉しく思う。2015/08/22

ゆのん

80
容姿端麗の医師・ノートンは前途の成功を投げ打ってまで一目惚れした『コマドリ』という渾名のダイアナと結婚するのだが…。Who done itものは自分なりに推理しながら読むのだが、今回も真相に辿りつけず…。良い所までいったんだけどと言い訳しつつ読了。作者は近所に住んでいたアガサ・ミラーを作家となるよう後押しし、文章の手ほどきをした事で有名。私の尊敬するアガサ・クリスティの誕生に関わった人物である。私の中ではそれだけで一読の価値のある作家である。2752020/12/11

つねじろう

69
コマドリという名のあまりに可愛らしいイメージとそれを殺しちゃうというマザーグースらしいブラックさが滲み出てる。最初は能天気な若者の医師のノートンとコマドリことダイアナの一目惚れラブロマンスがキラキラ&情熱的に進んでいくが、どことなくちらちらとブラックさが顔を覗かせ始め、え〜このまま進むとマズいんじゃないのノートンって声かけようと思ってたらある出来事から一転してズブズブとダークサイドに転がりだす。転がりだすとキャー!そこまで行っちゃうのと言う怖い怖いお話し。絶対美人を怒らせてはいけないという注意喚起本です。2016/06/08

セウテス

68
〔再読〕新訳で発売されたので、70年代以来の再読です。素晴らしいです。恋愛文学としてのミステリーであり、現在に到るまでのこのトリックの始まりの作品なのですが、非常に読みやすいです。タイトルのコマドリとはヒロインのダイアナの愛称であり、よってダイアナ殺人事件が起こる事は、最初から知らされているのです。ですから、読者は「誰が」に向かう前に「いつ」殺されるのか、恋愛模様や何気ない生活の中に伏線は無いのか、見落しはしないぞと読む事になるのです。そして事件が起こってからは、息つく暇も無くクライマックスへ運ばれます。2015/03/25

星落秋風五丈原

51
「赤毛のレドメイン家」に続いて女性に一目ぼれをする男性が登場したが、どうやら作者は一目ぼれで結ばれる恋愛を認めていないようだ。主役たるノートンが、共感を得られるヒーローになっていない。ダイアナを好きになったのであれば、彼女の返事がどうであってもネリーや伯父にきっぱりと自分の気持ちを打ち明けるべきであった。また、結婚すると決めてからのダイアナや伯父に対する態度も同様。二人の行く先がどこへ行くのか見えてしまう。「なんだかイヤだなこの二人…」と思いながら先を読むのは結構辛かった。2015/10/21

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