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内容説明
『失われた時を求めて』の個人全訳で名高いフランス文学者は、1960年代から70年代にかけて、在日の人権運動に深くコミットしていた。二人の日本人女性を殺害した李珍宇が記した往復書簡集『罪と死と愛と』に衝撃を受け、在日論を試みた日々、ベトナム戦争の脱走兵・金東希の救援活動、そして、ライフル銃を持って旅館に立てこもり日本人による在日差別を告発した金嬉老との出会いと、8年半におよぶ裁判支援―。本書は、日本人と在日朝鮮人の境界線を、他者への共感を手掛かりに踏み越えようとした記録であり、知られざる60年代像を浮き彫りにした歴史的証言でもある。【目次】プロローグ/第一章 なぜ1960年代か――アルジェリア戦争をめぐって/第二章 李珍宇と小松川事件/第三章 日韓条約とヴェトナム戦争/第四章 金喜老裁判/エピローグ/あとがき
目次
プロローグ
第一章 なぜ1960年代か――アルジェリア戦争をめぐって
第二章 李珍宇と小松川事件
第三章 日韓条約とヴェトナム戦争
第四章 金喜老裁判
エピローグ
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三上 直樹
2
仏文学者である鈴木正彦さんによる、日韓基本条約やベトナム戦争に揺れる1960年代という時代、そしてその中で露呈していく「在日」の犯罪に、当事者として踏みこんで描いた一冊。「在日」という存在と浅からぬ縁がある自分にとっては、他人事とは言えない重みをもって迫ってくるものがあります。2017/10/20
ユカ
1
いろんなことに興味が湧く人なのだな、なんて思っていた。この本で、鈴木氏のさまざまな行動には一貫したテーマがあったことを知った。アンガージュマンという言葉ずっと頭の片隅にあった。私は被害者意識の強い人間だと思ってたけど、国からしてそうだった。今の韓国に対するお考えも聞いてみたい。2021/03/18
灘子
1
否定の民主主義 李時宇 一言一言を主体から逃げ続けた私たちは聞き逃したらいけない。権力者が、マイノリティの非遇を原因をすべてその環境に押しつけることで逆に主体性を奪ってる。その環境下で考え戦わなければならなかった人、原因をマイノリティ性のせいにする人。どちらにしろ、被告台への道は日本社会が作り出している。2020/12/30
河村祐介
1
現在のポンコツ愛国の歴史修正主義の増長に関して、2007年の時点でかなり言い当てている箇所あり。2017/12/12
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0
アルジェリア戦争、小松川事件、日韓条約、ヴェトナム戦争、金嬉老、プルースト。「「国益」だの「愛国」だのという言葉を恥ずかしげもなく口にするのは、「民族責任」の自覚のはるか手前にある無神経な態度で、国民国家の形成される19世紀ならともかく、とても21世紀を生きようとする人間のやることではない。」2017/11/09