内容説明
日本は諸外国とくらべて地名が膨大であると説き、柳田は有名な「大きな地名」よりも、小字などの「小さな地名」に着目する。また、地名を新古の生活の必要によって命名する「利用地名」、自分の土地だと宣言するための「占有地名」、地名を分割して名付ける「分割地名」に分類。それぞれの特徴は何か。地名学の源流となった名著。(解説・中沢新一)(講談社学術文庫)
目次
自 序
地名の話
地名と地理
地名と歴史
地名考説
解説 地名のアースダイバー──中沢新一
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
獺祭魚の食客@鯨鯢
43
地名にはその地の神「地霊」がその土地を守っている。天皇家の氏神「神明社」は「伊勢神宮」の分社であり、古事記とは天皇家の王化の物語である。 地元川崎にもいくつものその痕跡が残されている。 「加瀬」は「賀勢」即ち「伊勢を賀(いわ)う」であり、天皇家の直轄地である屯倉「橘花」があった。倭建命の后弟橘媛(オトタチバナヒメ)とも関係する。 「宮内」は藤原氏の「春日神社」の勢力圏内としてそう呼ばれた。「鹿島田」は「鹿島の田」の意であり鹿島神宮との繋がりで藤原氏と関係している。どちらにも藤原家の荘園があった。2021/12/08
魚京童!
14
國男だからいいんだよね。難しい問題しかないよね。歴史は勝者のものだから、弱者は地名に名前を遺す。そして連綿と引き続く。核戦争するしかない。2022/03/09
まな
2
高尚過ぎました(ー ー;) 下ネタ的な?ところも、当然、学術的で付け入る隙がありませんでした。2018/08/27
鯨、或は山田
2
国ではなく民の生活の跡である細やかな地名。それは目印が固有名詞を獲得していく過程でもある。2015/04/13
じぇにぃ
1
慣れない文体でなかなか読むのに苦労した…。特徴的な地形や要素があるだけでなく、そこに地名をつける必要性があって初めて地名になる、という考え方がまず頭になかったのでなるほどと思った。歴史にするとは忘却に抗うことなんだなとふと思った。2022/03/12