内容説明
朝鮮人の父と日本人の母の間に生まれた李明俊。生まれ故郷で母の遺骨を捜すため、明俊は1982年に日韓文化交流で来日する。案内したのは、かつて同じ小学校に通っていた松井剛志だった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ももちゃん
1
陳腐な言葉にはなってしまうけれど、歴史から学ぶということがどういうことなのかを考えさせられた。人は、一つの体のうちに両面の精神を住まわせていて、だからこそ出来事が自分の内面の一部になるように、心に刻んでいくこと。悲しみや憎しみや罪の意識に責められながら、現在穏やかな暮らしの中にいる人々の、消すことのできない重い記憶、苦しみの世界で悶えさせる元凶こそ憎んで、過去の痕跡から感じつづけること。絶望的な状況の中でも、私たちは理想のなかで生きることを諦めてはいけないなと思ったりした。いい作品でした。2025/10/17




