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内容説明
王政復古のクーデター、廃藩置県の断行、征韓論での西郷隆盛との確執……。劇的な明治維新期をたどりつつ、「意志の政治家」と呼ばれた、明治政府最高の政治家が体を張って描いた国家構想を捉え直す。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こういち
13
大久保が描いた国家観の成り立ちを時系列に従って追う。本書は、明治創成期を政治主導権の抗争に視点を当てて整理した名著。特に、大久保と木戸との微妙に異なる施策の根幹に至る結末は、滑舌良く分かりやすい。思うに「大日本帝国」の基軸は、国の権威となる皇室を形式的に奉った、いわゆる現行制度内における下克上に成功した〝under-boys〟に因る政治システムにあり、その後に整う軍制において、下からの要求を受けやすい、ひいては下の行動を追認しやすい組織を産み出したのではないか。2015/05/08
大先生
12
従来、非情・冷酷・専制政治家とされて人気のない大久保利通。しかし、実は熟考と果断の政治家であり、意思の人であって豪傑・大政事家であったと。主君久光と決別し、畏友西郷とも決別。日本の近代化のために冷酷ともとれる決断を積み重ねたわけです。当時は集権化が必要だったため、専制もやむを得ない状況だったと理解できます。大久保さんは確かに凄い人だとは思いますが、やっぱり西郷さんの方が好きですね。人としての温かさって大切だと思います。2025/04/14
筑紫の國造
6
西郷隆盛に比べ、人気で格段に劣る大久保利通。しかし近代国家建設の功績で、大久保以上の人はいないだろう。本書は大久保の評伝ではなく、その国家観を辿り、彼がどんな国家を目指したのかを探る。あくまで近代国家建設の信念に忠実で、主君の島津久光と決別し、最後は親友の西郷隆盛とも戦わねばならなかった大久保は、まさしく信念の人だ。史料の原文引用が少ないのは物足りないが、その分読みやすい。様々な誤解を受けている大久保の思想を知る、よい手引きになる。西郷が「情の人」なら、大久保はまさしく「信念と理の人」と言える。2016/10/11
コッシー
1
内治外交の課題に一人で立ち向かったリーダー。暗殺されなくて後10年活躍していたら、明治は違ったのでは?2015/05/28
inu
0
徳川慶喜・島津久光・西郷隆盛・木戸孝允らと袂を分かちながらも近代国家の建設に邁進する大久保利通。イギリスをモデルとした国家構想を持つ大久保が生きていれば、その後の日本はどうなっただろうか。大隈重信ご政府から追い出されることもなかったのかも。開発独裁としての明治。2025/07/31