内容説明
真珠湾攻撃の立案者の一人であり、特別攻撃隊の産みの親としても知られる大西瀧治郎海軍中将。持ち前の豪放さで指揮を続け、戦局逼迫してからでも徹底抗戦を主張し続け、終戦の翌日、割腹自殺を遂げる。大和魂を具現するには特攻しかないと考えた、大西の葛藤とは何だったのか。右傾化が進むいま、その生涯と生き様を描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
森田裕之
2
神風特攻隊という異常な作戦を立案、推進したというその「肩書き」から、とにかく忌むべき愚将という印象しかなかったが、本書を読むと少し違った大西の人物像が浮かび上がってくる。『不死身の特攻兵』で触れられていた大西の考え(戦争終結のための特攻の意義)は出てこないが、レイテ防衛という限定的な目的で始まった特攻が広く採用されるに至った経緯、このような作戦を誰も止めなかった軍部や時代の「空気」と大西の苦悩・覚悟が興味深かった。あのような作戦を生んだのと同じ土壌が今の日本の組織や社会にもありうることを自戒すべきだろう。2018/03/19