新潮文庫<br> 恋情からくり長屋

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新潮文庫
恋情からくり長屋

  • 著者名:辻原登
  • 価格 ¥594(本体¥540)
  • 新潮社(2015/03発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101321721

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内容説明

「治兵衛さん、しぼり尽させてもらいますえぇ」。島原女郎の請け出しに身代賭けた大店の旦那。菊の香りを懐かしむ消えた恋女房に瓜二つの歌比丘尼。国もとの妻の胸を騒がす不思議な夢が暴く、見てはならないこの世の闇……。浪花で恋に焦がれ、江戸で情けに溺れる女と男。西鶴もかくや、の情念にじむからくり話を自在に操る名うての著者の絶品世話物競演! 『夢からの手紙』改題。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

安南

22
作者の水と船への想いにとっぷり浸れる短篇集。表題『夢からの手紙』はシュニッツラーの『夢奇譚』変奏。三島由紀夫好みの衆道秘密倶楽部への潜入は堪らなく魅惑的。『川に沈む夕日』は〔西鶴織留 津の国のかくれ里〕から『おとし穴』は〔西鶴諸国ばなし 大晦日はあはぬ算用〕を換骨奪胎。どちらも近松の『心中天の網島』を通奏低音に名残りの橋尽くしも効いている。江戸も大阪もかつては川と橋の水の都だったのだなぁと、在りし日を切なく想いサウダーデ気分を満喫。(単行本で読了)2014/09/28

けい子

17
男の人が書く、こういった切ない恋の話は、可愛くも思えるし色気もあり好き。2019/11/08

5
キューブリックがメガホンを握ると「アイズ・ワイド・シャット」になり、辻原登が筆を執ると「夢からの手紙」になる。どちらもシュニッツラー「夢奇譚」の本歌取りだけど、舞台を江戸に移して衆道と武士道で仮装しなおすと、妖しげなエロティシズムといっても、こうまでかわるのかと、イマジネーションの跳躍力に唸らされる。江戸と上方のパワーバランスが地殻変動の兆しをみせる江戸後期を主な時代背景として、人々が何にとらわれ、つきうごかされるのか、江戸情緒が薫りたつ自在な語りを肴に堪能した。短篇間の並行世界の仕掛けに、思わずにやり。2014/10/18

ネムル

5
奇譚、滑稽譚、怪談に人情噺とネタが広い。しかし、さすが辻原登とはいえ「枯葉の中の青い炎」や「谷間」といった短編のような振りかぶりも無しに、突然変化球を投げてくるのは参った。しかし、江戸時代への教養が無いもんで、どのあたりにネタが仕込まれてるか見分けにくいのが悔しい。2014/10/17

ホシナーたかはし

4
時代劇を地上波で流していないから、身請けやら何やら女郎屋用語を言われても、時代劇観てない人にはピンとこないかもしれません。ただでさえ、大学出のえらい学者が「女郎屋は人身売買だ」と歴史に無学な自分を世間にさらしながら人権侵害を訴えるヴァカが続出している世の中。こういう小説が必要なのかもしれません。ただ、恋・情というテーマなのに、「おとし穴」は別物のように思いました。川に沈む夕日、有馬の二編が、落語っぽくて一番好きです2014/11/06

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