内容説明
都内杉並でカミさんと二人暮らし。これといった趣味はなく、衣食住にもことさら頓着しないが、年中行事を欠かすとどこか落ち着かない性質である。犬のキキと猫のパルルがいて、夏目漱石家伝来のヌカ味噌があるから家を空けられず、そういえばここ数年、夫婦で旅行に出かけていない。そんなある日、二人して出雲に行くことに―。鳥肌が立つほどおいしい幻のシジミ、北島康介のメンチカツ、手放す古本の“読み供養”、老母が遺したホワイトデーのプレゼントなどなど、直木賞作家で古書店主の著者が、平成の世相を背景に日々のよしなしごとをつづった、「昭和」のエスプリ漂う129の掌篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
石川さん
2
何年か連載が続いた日経新聞でのエッセイ集。夫婦二人暮しの穏やかな日常を描いたものが多くほんわかした雰囲気。特に大きな事件がなかった日の天声人語とかのコラムに内容が近いかも。著者の年齢(60代)からくる抹香臭さい感じも含めて。あと、私、キャスターとか作家とかが政治家や官僚を揶揄する時に「我々庶民の感覚では想像がつかない」とか言うのを聞くとダメなんですよね。我々?庶民?はぁ…ってなっちゃうんです。でも、桜桃忌の出来事を書いた「桜桃と蕎麦」はとってもよかった!乙女シジミってタイトルもいいですよね!2012/03/27
うな坊
1
読んだ記憶があるものもあり、「再読か? おれも呆けてきたか」と思ったが、読んだと思える部分がまだらだから、新聞連載時に読んだのだろう。 いつもながら、安心して読める作家。2013/07/23
ミガーいち
0
気楽に読めた。星22015/10/17
三井寿里
0
昭和が香る、平成初期のエッセイ集。数年前、本庄まなみが男装で演じたドラマ「おんな飛脚人」を観て、面白そうだと原作を読んだのが、作者との出逢いでした。この方のエッセイを読んだのは初めてですが、小説に通じるものがありますね。乙女シジミ、どんな味なのか味わってみたい!2019/02/21