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内容説明
第2次世界大戦の敗北により、人心・国土とも荒廃したドイツ。その復興を担ったのが、73歳で首相に就任、14年間その座にあったアデナウアーである。戦前、ケルン市長として活躍した彼だが、ナチに迫害され引退。戦後、保守政党を率い、「復古」「反動」のレッテルを貼られながらも、常に自国のナショナリズムを懐疑し、米仏など「西側結合」に邁進、ユダヤ人との「和解」にも挑んだ。「国父」と呼ばれる保守政治家の生涯。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
1959のコールマン
68
☆5。名著。重厚。にもかかわらず読みやすい!私はドイツ戦後史にまるで無知だったが、そんな私でもすんなり頭に入る!本の帯に「真の保守政治家とは」とあるが、これ以上本の内容を表した文はない。とはいえ、著者は単純にアデナウアーを礼賛していない。それどころかときに辛辣なほど彼の駄目な部分を書いている。そう、ある意味中立公正な態度から描いているため、かえってアデナウアーの存在の大きさを感じ取る事が充分出来た。イスラエルとの戦後補償交渉の部分なんて鳥肌がたった。彼がいなかったら、今頃ドイツはどうなっていただろう。2021/05/05
skunk_c
62
首相就任時にすでに73歳、以後14年にわたって西ドイツ首相を務めたアデナウアーのコンパクトな評伝。特に外交面に関して詳しく、東西対立が激化していく中、ドイツ統一より西側の一員としての立場を固めるという明確な方針(相当な社会主義嫌いだったようだ)をもった、ある種豪腕な外交は、かえってあの時期のドイツにマッチしていたように思えた。内政についてもかなり強引なタイプで、ドイツ国民を信用しない、ある種のエリート主義的な政治を行ったが、それが結果的にナチス崩壊後のドイツに民主政を定着させたとか。政治の難しさを感じた。2023/04/22
ステビア
25
ドイツ人も敗北を抱きしめた2024/01/20
kk
21
図書館本。西ドイツの初代首相アデナウアーの政治的伝記。今の我々から見れば、西ドイツのNATO加盟、西欧との連携、民主主義国としての歩みなど全てが成るようにして成ったものと思いがち。筆者は、そうした歩みは実際にはどの程度必然的なものだったのか、そうしたコースの選択と定着においてアデナウアーのイニシアティブは如何ほどの重みを持ったのか、といった事柄を簡潔ながら丁寧に考察。政治家としての負の側面にもきちんと触れていることもナイス。一般向けの読み易い本ですが、内容的にはかなりしっかりしたものを感じました。2023/03/04
aisu
17
第二次大戦後のドイツ。「英仏などとの西側結合に邁進し、ユダヤ人との和解にも挑んだ」国父と呼ばれる保守政治家。今また難民問題とかあるけど大丈夫かドイツ…。ヒトラーの時代やそれ以前のドイツなどももっと知りたいと思った。2015/09/08