内容説明
長年、自傷の問題に関わってきた著者が、「自傷行為の当事者に向けて、これまで診察室で伝えてきた、あるいは伝えたいと思った事柄」をやさしく語った本。前半では自傷についての考え方、後半では実践編として、どうしたら、回復することができるのか(自分の行為の観察、衝動のコントロール、生活習慣について、精神科にかかるときのアドバイスなど)を具体的に説明。これまでになかった回復の手引き。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
青蓮
93
読友さんの感想から。元リストカッターとして、もっと早くに本書に出会いたかったなぁと思いました。読み手への優しい語り口や「そうそう、そうなの!」と大きな共感を感じられる内容は当事者は勿論、その周りにいる人達にも是非読んで欲しいものです。第2部に書かれる自傷からの回復方法は具体的で、とても解りやすいので、今自傷に悩んでる方もかなり参考になるのではないでしょうか。心に留めておきたいのは、とにかく自傷行為を否定しない、当事者の気持ちに寄り添う、サポーターは複数作る、等。読むと励まされる1冊。良書。また再読したい。2017/04/10
ネギっ子gen
65
【切ってもつらいが、切らなきゃ なおつらい……】薬物依存を専門とする精神科医が、自傷をコントロールするために役立つ知識など、「診察室で伝えていること」をやさしく語った書。「あとがき」で、<自傷は、いまだに多くの人に誤解されており、専門的な資格を持つ援助者のなかにさえ自傷を正しく理解できていない人がいます。実際、自分を傷つけずにはいられない人たちのなかには、「援助を求めたらかえって自分が傷つく結果になった」という体験をし、人に援助を求めるのをやめてしまったという人も少なくありません>と。確かに、そう…… ⇒2025/01/16
コージー
44
★★★★★著者が臨床経験を経て伝えたかった「自傷する人」に向けた本。自傷を免れる具体的な対処法や、精神科医の選び方など、自傷から回復するヒントが、いろんな角度から紹介されています。また、なぜ自傷してしまうのかという理由がとてもリアルに語られています。自傷する人の家族や支援者の方にも、ぜひ見てほしい良書です。【印象的な言葉】自傷する人が切っているのは、皮膚だけではないのです。意識のなかで、つらい出来事や、つらい感情の記憶も切り離し、何もなかったことにしている、ということなのです。2019/02/01
香菜子(かなこ・Kanako)
30
自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント。松本俊彦先生の著書。自傷問題の専門家である精神科医の松本俊彦先生だからこそ書ける素晴らしい一冊。自傷問題を起こす自傷者を問題視したり敬遠したりするのではなくて、自傷者に親身に寄り添う松本俊彦先生の精神科医としての誠実さが伝わってきます。松本俊彦先生のような精神科医の先生が世の中にもっと増えると、患者さんやその家族も安心できるはず。2019/07/19
澤水月
25
回復したくない血に浸かりたいと遂に最悪状態で読了、その間ひと月で9回は切り、血まみれ。傷撫ではライナス毛布。生きる為辛いPTSD抑え乖離する為に切らざるを得ないとの文言心透かされた。「周囲には生傷隠し、治りかけはむしろ誇れ」超分かる紅い内は安心。著者の言葉は地に足つき全部頷く。トリガーとシンカー(錨)見極める。自傷=悪と頭ごなしにせず臨床で患者から学ぶ姿勢。真面目になりすぎない。支援者(福祉、恋人)1人にしがみつかずリスク分散。身体改造モディファイにも目端きく。汚ければ自傷、確かに。年単位積読やっと読む2018/10/24
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