内容説明
維新以降の日本の「歴史」は、勝者である明治政府によって描かれた。しかし、尊王攘夷思想を肯定する明治中心の歴史観は、国内政治の混乱を招き、後に四度の戦争を引き起こすことになった。薩長同盟を仲介し、倒幕・明治維新を実現したヒーローとして描かれる龍馬。日本近代史におけるその真の役割を検証しつつ、江戸、明治、昭和の歴史を問い直す。
感想・レビュー
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konomichi
3
司馬史観によりねつ造された龍馬像の否定からはじまり、司馬史観そのものの否定。嫌う人多そうだけど、なかなか面白い。「明治はいい時代。昭和はダメ」という司馬史観そのものを「これ続きじゃん。分けるなんてナンセンス。明治なんて、ただの薩長独裁の延長じゃん。ダメすぎ」と一喝。2010/08/12
Hiroshi Obara
1
「歴史は勝者が作る」とか、「小説なのだから」などと言うけれど、じゃ学生時代に学んだ日本史ってなんだったんだ? 「信長の棺」を読んだときも同じ思いだったけれどなんだかいろんな事に腹が立つ。 著者の榊原が書いているように、冷静に判断できる目を持って歴史に向かうにはもっとたくさんの事を知る必要があるのだなぁ。2016/11/11
アリムン
1
薩長同盟を仲介し,倒幕・明治維新の立役者として扱われる坂本龍馬。そのイメージをどうとらえるかがテーマか。龍馬は「倒幕派」ではなく,「佐幕開国派」であり,薩長同盟も「ビジネスの一環」であると説明。「アンチ薩長」側のヒーローで,佐幕派なのだから,暗殺の黒幕も薩摩だというのは(私は)腑に落ちないのだが・・・「素晴らしき明治」という史観に真っ向から対立しているところは面白い部分もある。2010/09/27
三上 直樹
0
先の『官賊と幕臣たち』と同じ趣旨ですが、それを高名な経済学者が明らかにしているのが驚きです。 これによれば、坂本龍馬は侍というよりも武器売買の死の商人、唱えていたのは倒幕ではなく共和政体、それを暗殺したのは西郷隆盛であり、それが四度の再発見でヒーローに祭り上げられたというのには会津派の私は全面的に賛同ですが、『竜馬がゆく』信者の皆さんには受け入れられるかどうか、ぜひ一読をお勧めします。2016/09/08
Yasushi Ikeda
0
勝者が作る歴史を汲む司馬史観とは真逆の論述であり、面白い。2012/10/14