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内容説明
種田山頭火、尾崎放哉…。本書は、全国を放浪しつつ句作を続けた二人の男の話から始まる。山頭火は家業の倒産、弟の自殺、離婚、父の死などの不運の連続により、人としての崩壊を眼前に出家する。しかし寺に落ち着くことなく、一切を捨て去り、酒と旅と句作に生きた。放哉は、東京帝大を卒業後、生命保険会社に就職。が、その要職も妻子も捨て、放浪生活に入る。寺男・堂主の生活を送りながら句作を続けた。二人に共通するのは、句作だけではない。家族、財産・地位・名誉・義理など、世の人が後生大事に守ろう、得ようとするものから縁を絶ち、何もかも放り出さなければ生きられなかった点である。まさに「生きるのが下手な人」の代表格だ。本書には、貧乏書家時代の相田みつをなど、12人の「人生下手」が登場する。しかし、皆、生きたいように生きた人間ばかりだ。生きたいように生きる。その大切さを彼らの生き方を通して説く、救いの人生論である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まつ
3
著者が仏教家なので、禅僧や敬虔な仏心のある人たちについて紹介されていた。山頭火や放哉、相田みつをと言った聞いたことのある人、暁烏敏、八木重吉、毎田周一などこの本で初めて知った人、それぞれに力強く生きていた。宗教心の浅い私ではあるが、深く生きた人の話は昔から好きである。「生涯で一つでもいいから、その人だけしか出来ないようなことを為せば、その人は勝利者、成功者である。」というようなことを伝えた会津八一から大泉博一郎への書簡は感動したので、ノートに写した。確固とした自分の価値観、人生観を持てるようになろう。 2018/04/04
翀
0
「偉い人にならなくても良い、立派な人になって欲しい」と言う福井達雨の母の言葉が良かった。2019/02/19