ちくま新書<br> 死刑肯定論

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ちくま新書
死刑肯定論

  • 著者名:森炎【著】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2015/03発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480068132

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内容説明

死刑論と言えば、これまで存廃論議に終始していた。存置にしろ廃止にしろ、正義論を根拠に語ると、結局は優劣を比較したり、感情論に終始したりするなど、相対的なものでしかなかった。従来強調される「人的道な見知」「犯罪の抑止効果の有無」「誤判の可能性」…には、大きな錯誤があるのだ。本書は、これまでの議論や主張をコンパクトに整理。人はなぜ死刑を求めるのか、あらたな視点で死刑の究極的論拠をさぐり、罪と罰の本質をえぐりだす。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

GAKU

56
題名は「死刑肯定論」だし、筆者自身も死刑肯定派である。しかし内容は過去に頻繁に議論されてきた事に関し、西洋哲学の観点や現実の事例などを交えて、理性的、論理的に”死刑”に関して述べている。一概に肯定か?否定か?短絡的な答えを導き出す事はなく、私達個人個人に改めて”死刑とは?”と考え、悩む機会を与えてくれた1冊でした。この方の著書は過去何冊か読んだが、どれも興味深かった。 2019/01/30

大道寺

12
従来の死刑論を冷静に整理した上で、新しい死刑肯定論を語る。「確信的死刑肯定論者であるためには、冤罪で自分が死刑になる可能性を覚悟しなければならない。そうでなければ、ただの欺瞞に終わる。」という姿勢で説得力のあることを言っていると思う。私はどちらかといえば死刑廃止論者だが、タイトルでスルーせずに読んでみてよかった。2015/06/24

鬼束

12
本の内容としては面白かった。著者の主張に見るべきところもあったが、安易に同調できるものでもなかった。秋葉原の通り魔殺人事件の加害者の場合の話だが、彼は非正規雇用者という社会における負け組として鬱屈し、それが爆発したことで殺人に至り死刑でもって処された。現代管理社会が市民の安全のために死刑でもって排斥を目論む敵対者が、アウトサイダーではなく、この社会の内で周縁に追いやられた存在であるという皮肉。自ら悪を産み出しそれを死刑で処する。このような負の連環が成り立つ根源に死刑は与していないのだろうか…2015/04/22

Ayumi Katayama

10
私は死刑廃止派である。故にこのタイトルの本は気になってはいた。なにも噛みつこうというのではない。肯定されるその理由がはっきりすれば、それを変えていけば廃止できるかもしれない。そう考えてのことである。読み終えた今、少し残念というのが正直なところであろうか。▼この国で死刑が廃止できない理由は、遺族感情それだけだと思っている。遺族は残された最大の関係者であり被害者の唯一の代弁者でもあろうから、もちろんおざなりにできるものではない。同時に対応も容易ではない。2018/06/03

ふみあき

9
同じちくま新書の萱野稔人『死刑 その哲学的考察』より、よほど哲学的だった。萱野著は廃止論(やはり冤罪の発生を構造的に防げないことが主な理由)だったが、森著は死刑制度の根拠を、人間が「共存在」であることに求める。ヨーロッパは、ほぼ全ての国で死刑を完全廃止しているが、例えば英仏など、湾岸戦争などの軍事介入で多数の一般市民を死なせている。日本は憲法9条の下、国外で戦闘行為を行わない。また廃止国でも、日本ほど警官の武器使用要件が厳格な国はない(裁判を受ける前に犯人射殺なんてことが少ない)ことは看過すべきではない。2020/07/08

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