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内容説明
西欧近代は、私たちに光をもたらしたのか? ホッブズ、ルソー、ウェーバーなど、近代を決定づけた西欧思想を問い直し、現代文明の本質と危うさに真っ向から迫る。自由、平等、民主主義、市場経済……西欧近代が築き上げてきた輝かしい「文明」は、しかし同時に空虚なニヒリズムを生み出した。信ずべき確かな価値を見失った人類は、これからどこへ向かうのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
to boy
16
期待以上の内容。西欧における社会思想をわかりやすく読み解いて書かれています。ルソーの社会契約論など「そういうことだったのか」と納得です。西欧の普遍的価値が世界の他の文明でも普遍的ではあり得ないことがわかります。また、米国の行動がカルヴァン派の信仰に基づいていることも何となく理解しました。もう一度ゆっくり再読したいです。ところでホッブスが現代の日本を見たら理想社会と思うのかもしれないなぁ。2014/12/02
Miyako Hongo
14
社会哲学入門書。社会と人間の関係に関する思想の有名どころを、年代を追ってさらっと概略説明した本。新書の加筆文庫化なので、分量的に重くない。元々が大学の講義内容なので、言葉が判りやすく各章ごとにまとまっていて読みやすい。 □フランス革命の思想的バックボーンといわれるルソーが実は全体主義者であるとか。ニーチェの思想は実はギリシャ哲学やヘーゲルから続くものだとか。フーコーのパプティコンは神のシステム化であるとか。ハードルの高い原書のエッセンスを周辺事情も踏まえて抜き出している。良書。2015/05/19
双海(ふたみ)
14
西欧近代は、私たちに光をもたらしたのか?ホッブズ、ルソー、ウェーバーなど、近代を決定づけた西欧思想を問い直し、現代文明の本質と危うさに真っ向から迫る。自由、平等、民主主義、市場経済…西欧近代が築き上げてきた輝かしい「文明」は、しかし同時に空虚なニヒリズムを生み出した。信ずべき確かな価値を見失った人類は、これからどこへ向かうのか。(カバーより)2014/12/06
masabi
12
西欧において中世の価値観が崩壊し、信仰の見直しをした際に近代的な思考が生まれた。神の栄光を増進し、救いに与るため、自身の客観的な成功を求めた。ここに、合理的思考と資本主義の精神が生まれる。しかし、初めの信仰が衰えると自分を規定するものを自分のうちに求めなければならず、本当の自分を探究することになる。 自分が自分を支配するシステムが社会全体に広がり、それはまさにニヒリズムだとする。現代はニヒリズムとその派生物が蔓延しており、その打破の方策が見当たらない。2015/08/19
mittsko
11
名著! 非常に勉強になった! 私自身の積年の研究テーマのひとつ「近代とは何か、近代性とは何か」が、ここまで明確に、独自ではあれ大変説得的な仕方でまとめ上げられていることは、ただただ有難い。ボクがこの問いを主題化したのは2006年。この文庫本の元になった新書は2003年、さらにその元になった講義が、先立つ数年間、京大の一般教養科目としてなされていた。ボクが四苦八苦してまとめ上げた視野は、もうとっくにここまでの定式化を果たしていたわけだ。この視覚と水準の歴史観は、きわめて根本的だと確信する。ぜひ読まれたし!2018/05/17




