内容説明
アメリカで育ったわたしが、ロンドンで暮らしはじめて1年余り。その間、この国はナチス・ドイツと開戦し、チャーチルが首相になり、そしていま、空襲の時が迫っていた。そんな折、首相官邸での職の話が舞い込んでくる。数学の能力を活かせる秘書官ではなく秘書としてのオファーだが。女性にタイプとファイリングしかまかせようとしないこの国に苛立ちを感じながらも、わたしはその誘いを受け入れる。官邸を取り巻くいくつもの謀略が、待ち構えていることなど知るはずもなく。才気煥発なマギーが体当たりで陰謀に挑む、魅力のシリーズ開幕編。MWA賞、バリー賞、ディリス賞ノミネート!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
147
第二次世界大戦下のロンドン。数学の天才ともいえる女性が持ち前の頭脳でナチスのたくらみの暗号を解いていく話。女性の地位が低く、頑張ってもなかなか認めてもらえない時代。チャーチルも女性参政権には反対だった。そんな時代に、持ち前の元気で困難を乗り越えていく。秘書として働き始めるのだが、目の前を通り過ぎていく機密情報が気になってしょうがない。頼まれてもいない問題を解決し始める。思わず応援したくなる性格でもある。敵に囚われる場面が多すぎてちょっと食傷気味だが。2023/08/01
あつぼう
67
また新しいシリーズに手を出してしまいました。そして続編を読みたくなるぐらい面白い作品でしたので、どんどん読みたい本が増えていきます。表紙から勝手にコージーミステリーかなと思ってたけど、いい意味で裏切られたかな。第二次世界大戦下の空爆が迫るロンドンが舞台で、チャーチル首相の秘書になったマギーの活躍を描いてます。この当時ならではの葛藤や戦時下のロンドンの状況がリアルで、生と死が隣り合わせだったのが伝わってきました。MI5なども登場しスパイ小説としての要素もあり今後の展開が楽しみです。2020/05/22
小木ハム
56
1940年。インテリ女子のマギーが第二次世界大戦下のイギリス・チャーチル首相の元で働くミステリー小説。しんどい時代背景だけど割と楽しげな雰囲気なのは彼女の気丈さや困難をジョークで笑い飛ばす仲間たちのお陰か。陰謀の渦中に巻き込まれている事に気付くのは中盤以降で暗号が出てくる辺りから一気に面白くなる。戦時には飼い犬や動物園の動物が安楽死させられ、公園のフェンスは溶かして武器にするため撤去される。灯火官制で夜は真っ暗。ところどころの描写が改めて戦争のしんどさを物語る。2018/06/02
oldman獺祭魚翁
50
第二次大戦初期 縁あって時の総理W・チャーチルの秘書となったアメリカ育ちのマギーをめぐる歴史サスペンス。戦時下の英国では日本と同じ様に配給制が施行され、簡易防空壕を掘ったりしているが、勝ち戦で始まり(少なくとも国民はそう思わされていた……)勝っているのに何故か空襲を受け始めた日本と、敗戦に次ぐ敗戦で大陸から孤立した英国とでは受け止め方が違うようだ。まぁその辺は国民性の違いなんだろうが……国民性といえばアメリカナイズされたマギーと英国人との思考のズレも興味深い。2018/07/29
ごへいもち
50
あまり期待しなかったせいか、そこそこ面白かったです。チャーチル家のモットーだという「Fiel pero desdichado不運でも誠実であれ」がなんだか心に響く。弔辞代わりのホランドの詩(コメントに)も心になじむ。先日読んだ「おだまりローズ」のレディ・アスターとの不仲にも言及。チャーチルのカントリーハウス、チャートウェルはヒロインでなくても行ってみたい。一応続編も読もうかな 2015/02/22




