内容説明
保健所に送られる直前で助けられた2匹の猫と、震災直後から原発20キロ圏内で動物の世話を続ける松村さんの日々。忘れかけていた懐かしい風景を、写真集『のこされた動物たち』のカメラマンが切り取る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しいたけ
118
しろとさびの可愛らしさに下手な同情なんぞを持って読んでいたら、ガツンとやられました。この場所で、福島で、多くの動物の命が失われたのは国や原発のせいではないと。「人々の動物に対する意識の低さが招いた悲劇」であると。松村さんが放射能汚染されたこの地で生きていくと決めた思い。怒りや憤りや反発ではなく、しぜんで穏やかな愛がそうさせたのではないかと、松村さんの鼻にキスするしろの写真を見ていて思いました。2018/03/10
ふう
97
日本より海外で有名だというまっちゃんこと松村さん。「だれも殺させねえ」とい思いで、ひとり原発20㎞圏内に住み、保護した動物たちと暮らしています。そのまっちゃんとしろさび2匹を中心に、いいやんべぇな暮らしを撮った写真文集。最初のページのこちらへ歩いてくる2匹と、最後のページの後姿がとってもいい!とくに後姿からは、「まっちゃんに会えてよかったなぁ。」という会話が聞こえてきそうです。感想は、著者の言葉「どうか動物たちが、もう二度と悲劇に巻き込まれませんように。いつまでもこの幸せが続きますように。」につきます。2015/06/15
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
94
福島第一原発から10kmにある富岡町で、見捨てられた動物たちと暮らす松村さんと〈しろ〉〈さび〉の姉妹猫の日々を写しとった写真集。左が青、右が鳶色のオッドアイのしろはおっとり。さび柄で獲物をとるのが得意なさび。一年中作業服姿でコワもての松村さんは、殺処分が決まっていた牛や犬、ダチョウ(!)たちを引き取り、いまも富岡町で暮らしています。しろ・さびもそんな動物たちの仲間。東北の復興にあたって、国が〈リセット〉を決めたのが、経済価値がなくなり引き取り手がいない動物たちのいのち。しろ・さびがひたすら愛らしいです。2015/05/24
もんらっしぇ
70
まったく計算外でしたが今日この日にレビューをUP。福島第一原子力発電所から12キロに位置する福島県富岡町。原発事故で立ち入り禁止になった地に一人残り、この町で今でも避難せずに暮らしている男と動物らがいるそうな。松村直登さんと犬や牛、ダチョウ!そして2匹のネコたちです。主役はちょっとより目気味のオッドアイの「しろ」と枯草の中にいると保護色になってしまう“さび柄”の「さび」。『だれも殺させねえ』との思いで殺処分問題に立ち向かい一人活動を続ける村松さん。国内より海外で有名人だそうで…私も不勉強でした(-_-;)2022/03/11
ぶんこ
57
もし私だったら・・・犬や猫なら一緒に避難するでしょうが、牛や駝鳥は無理。 泣く泣く残してきたでしょう。 そんな人にとっては松村さんは神様のように感謝でいっぱいの存在だと思いました。 声高に訴えるのではなく、2匹の猫と松村さんの仲睦まじい写真と、自然を優しく写した写真が、心を撃ちます。 間に現れた満開の桜並木に圧倒されました。2015/10/19