講談社学術文庫<br> 京都の平熱 哲学者の都市案内

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講談社学術文庫
京都の平熱 哲学者の都市案内

  • 著者名:鷲田清一【著】
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 講談社(2015/02発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062921671

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内容説明

古い寺社は多いが歴史意識は薄く、技巧・虚構に親しむ。けったいなもんオモロイもんを好み、町々に三奇人がいる。「あっち」の世界への孔がいっぱいの「きょうと」のからくり――。〈聖〉〈性〉〈学〉〈遊〉が入れ子になり都市の記憶を溜めこんだ路線、京都市バス206番に乗った哲学者の温かな視線は生まれ育った街の陰と襞を追い、「平熱の京都」を描き出す。(講談社学術文庫)

目次

人生がぜんぶあった──きょうと206番
東へ
 京都駅に降り立つ  ラーメン文化  べた焼  山本まんぼ  味の味  七条内浜
北へ
 清水の坂  京都は「古都」か?  安井  高台寺塔頭──奇人たちの宿  あらためて奇人伝説について  「普通」が消えたまち  石塀小路から下河原通へ  都市はいま空襲を受けている  祇園今昔  襞のある街  折り重なる時間  祇園新橋  振りと舞い──南座  壹錢洋食  間接性の美学  人工の美学  そして、ピグマリオンの美学  しっぽくとあんかけとにしんそば  うどんの佇まい  鱧おとしと鯖寿司の悲しみ  祇園をさらにうろちょろ  新門前をぬけて古川町へ  三条  京都の「口」  手切れ金のおかげで──岡崎  大きな隙間のあった時代  学生に甘い町──東一条から百万遍へ  見て見ぬふりをするのではなく──出町へ寄り道  「おもろい」の一言  さてん──孤独になれる場所  さてんが消える……  エーデンの東
西へ
 下鴨──ここにも奇人伝説が  京都人のきわもの好き、新しもん好き  リミットの明晰さ  「着倒れ」のほんとうのこころ  青虫から成虫へ  「十五の春は泣かせない」  北山通  加茂街道からの眺め  賀茂の「お野菜」──「お」と「さん」  ものには旬というものが……  都の中心にある鄙  碁盤の目  むかし烏丸車庫があったところ  ちょっと脚を伸ばすだけで……  自治都市  虚都  元祖と本家──今宮のあぶり餅
南へ
 京の縦軸  生活世界の神仏たち  阿亀  上七軒界隈  西陣の夜  精密工業──技術のまち、西陣  しまつの文化──使いまわし  きものの文化  「京もの」の傲り  粋ということ  西陣京極  たそがれの映画館  古のターミナル  天使突抜  子どもが勝手に育つ場所──六条商店街  西本願寺と島原界隈──都市の聖と性
終着駅へ
 旅の終わり  京都だけの問題ではない  タクシーで寺社めぐり?  「京都も汚のなりましたなあ」  古い町家と洋館の歴史は同じ  「京都らしさ」という言説  固定観念  外からの京都再生提案にもつかず離れず  京都の得意わざ?  都市の条件──世界が口を空けているところ  終点
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mitei

123
京都でもっとも営業係数の低い路線の206系統乗ってそこで出てきたものを拾って話を膨らますスタイルで地元民にはなるほどと思うことが多々。よそから見たら京都というのは掴みどころがないなぁと思った。考えてみれば京都って海に面していないのに100万人都市というのは他にないが相当なよそから惹きつける魅力があるのではないか?とも考えさせられた。2013/07/24

若布酒まちゃひこ/びんた

37
京都、という街への画一的、あるいは平板なイメージを解体し、猥雑で多面的な街として京都の姿を書いた名著。206系をメインストリートにして衣食住や学問、芸術に飛躍するエピソードは注意深く見ないと発見できない小道のようで、この語り口こそがぼくの知っている京都そのものだった。2016/03/06

みねたか@

31
鷲田先生による京都市バス206号系統での京都市街案内。「平熱の京都とそこに口を開けている様々な孔」を巡る。「孔」この世界の〈外〉に通じる裂け目。妖しく怖いけれども惹きつけられる場所。着物の重ね襟や入れ子構造の家屋に象徴される襞,影,奥が錯綜する奥行きと重層性。花街と寺町が並び僧衣と花魁が行き交う,派手なビルと旧居が並ぶ極端の共存。さらに人生をしっかり棒にふる奇人たち。時に切れ味鋭く時にしっとりとした絶妙の語り口も相まってさながら迷宮を彷徨うよう。ふらりと訪ねその裂け目に落ち込んでみたくなる。2019/11/28

キョートマン

25
懐古主義が過ぎる気もするけど、たしかに古き良きものは消えていっている気がする。この本が出た時にはまだあったものが今はもう無くなってたりもする。沿線の被差別部落にも言及して欲しかったけどまあ無理か。2020/12/07

つね

20
観光地としてではなく、地元の息使いが感じられる町案内本。市バス路線に沿ってフィールドを絞り、グーグルマップを片手に楽しく読む。食事処や神社の解説もあり、先週は実際に七条から四条界隈を散策。私も京都に移り住み子育てが一段落したが、京都(人)に対して負のイメージ(一見さんお断り、お茶漬けどうどす)が付きまとうが、本書で納得。絶えず戦地と化し、コロコロと変わる時の権力に従わざるを得ず、他者と一定の距離をとる一方、身内の結束が必要。哲学者らしい小難しい論調もあるが、総じて親しみやすい語り口で、京都再発見。2017/09/25

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