内容説明
古い寺社は多いが歴史意識は薄く、技巧・虚構に親しむ。けったいなもんオモロイもんを好み、町々に三奇人がいる。「あっち」の世界への孔がいっぱいの「きょうと」のからくり――。〈聖〉〈性〉〈学〉〈遊〉が入れ子になり都市の記憶を溜めこんだ路線、京都市バス206番に乗った哲学者の温かな視線は生まれ育った街の陰と襞を追い、「平熱の京都」を描き出す。(講談社学術文庫)
目次
人生がぜんぶあった──きょうと206番
東へ
京都駅に降り立つ ラーメン文化 べた焼 山本まんぼ 味の味 七条内浜
北へ
清水の坂 京都は「古都」か? 安井 高台寺塔頭──奇人たちの宿 あらためて奇人伝説について 「普通」が消えたまち 石塀小路から下河原通へ 都市はいま空襲を受けている 祇園今昔 襞のある街 折り重なる時間 祇園新橋 振りと舞い──南座 壹錢洋食 間接性の美学 人工の美学 そして、ピグマリオンの美学 しっぽくとあんかけとにしんそば うどんの佇まい 鱧おとしと鯖寿司の悲しみ 祇園をさらにうろちょろ 新門前をぬけて古川町へ 三条 京都の「口」 手切れ金のおかげで──岡崎 大きな隙間のあった時代 学生に甘い町──東一条から百万遍へ 見て見ぬふりをするのではなく──出町へ寄り道 「おもろい」の一言 さてん──孤独になれる場所 さてんが消える…… エーデンの東
西へ
下鴨──ここにも奇人伝説が 京都人のきわもの好き、新しもん好き リミットの明晰さ 「着倒れ」のほんとうのこころ 青虫から成虫へ 「十五の春は泣かせない」 北山通 加茂街道からの眺め 賀茂の「お野菜」──「お」と「さん」 ものには旬というものが…… 都の中心にある鄙 碁盤の目 むかし烏丸車庫があったところ ちょっと脚を伸ばすだけで…… 自治都市 虚都 元祖と本家──今宮のあぶり餅
南へ
京の縦軸 生活世界の神仏たち 阿亀 上七軒界隈 西陣の夜 精密工業──技術のまち、西陣 しまつの文化──使いまわし きものの文化 「京もの」の傲り 粋ということ 西陣京極 たそがれの映画館 古のターミナル 天使突抜 子どもが勝手に育つ場所──六条商店街 西本願寺と島原界隈──都市の聖と性
終着駅へ
旅の終わり 京都だけの問題ではない タクシーで寺社めぐり? 「京都も汚のなりましたなあ」 古い町家と洋館の歴史は同じ 「京都らしさ」という言説 固定観念 外からの京都再生提案にもつかず離れず 京都の得意わざ? 都市の条件──世界が口を空けているところ 終点
あとがき
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mitei
若布酒まちゃひこ/びんた
みねたか@
キョートマン
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