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内容説明
アングロ・アメリカン型の経済システムは本当に普遍的なのか? 多様なシステムの共存が経済利益を生むような「進化」とは? そして日本はどう変革すべきか? 企業組織から国際関係まで、ゲーム理論、情報理論等を駆使して「多様性の経済利益」を追究する新しい経済学=「比較制度分析」の考え方を第一人者がわかりやすく解説する、最適の入門書。(講談社学術文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
13
再読。日本企業においてメインバンク制によるコーポレート・ガバナンスと年功序列的な雇用形態が機能していたこと、東欧・ソ連の市場経済化はなぜ失敗し、中国での市場経済化はなぜうまく機能したか、を論じる。猫町倶楽部の読書会の課題本「知識創造企業」を読むとさらに理解が深まると思う。アベノミクスが限界を迎えつつある現在、人手不足やサービス産業での生産性低下など、日本経済の制度の構造的変化はいよいよ待ったなし。この本は日本経済の今後を見通すうえで大変有益な本になると思う。2017/07/01
Francis
8
ノーベル経済学賞候補に挙げられたこともあり、今年惜しくも亡くなられた青木昌彦先生が自分の学説の入門書として書いたもの。かなり難しいが、日本のメインバンクがなぜ上手く行ったのか、共産主義体制から資本主義体制への移行により旧共産圏の銀行がどのような制度になったのかなどについて論じている。最後の章では日本は今1993年の自民党政権崩壊からの移行期の途中であり、移行には一世代にあたる30年ぐらいかかること、政界再編は避けられないことが述べられている。内容は難しいが経済学の新しい潮流を知るためにも読んで損はない本。2015/09/23
Ucchy
5
豊饒な内容。企業内部の情報処理構造と企業の効率性の関係、日本のメインバンクを中心としたコーポレートガバナンスの分析、移行経済におけるコーポレートガバナンスと経路依存性、制度的補完性の概念による我が国の制度及び個人の行動の分析。我が国の経済システムの中核をなすのは終身雇用制度だった。我が国の「仕切られた多元主義」の中で成立している制度的な均衡を破り行き詰まりを突破するには強力な政治的イニシアティブによる既得権者の抵抗排除が必要。社会のいろいろの問題を検討する際には「制度的補完性」の概念は必須だと思った。2018/05/02
mashi
4
本書で提起される「制度的補完性」を考慮に入れるなら、コモンズの「安定性」(≠持続可能性)について何らかの提言を行う(≒モデルを構築する)場合、少なくとも政治・社会・経済・組織の4種ドメインそれぞれにおける均衡とドメイン間での連関を分析しないといけなくなるから完全に手に余るな。2017/06/05
maghrib
1
面白かった.雇用者と被雇用者関係で複数均衡が存在するなど.ただし複数均衡の導出は「比較制度分析に向けて」を読まないといけないらしい.2009/01/06