内容説明
ひと月前に双子の弟を亡くした「俺」は、弟の死を発端にした家族の言葉に傷つき、家出をした。目的の海辺の町に着いたが、一晩中浜辺で雨に打たれていた「俺」は風邪をひき、意識が朦朧としていたところを、嵐という男に拾われる。自分が記憶喪失だと嘘を吐いてしまった「俺」は嵐の経営する食堂に滞在することに。数日後の夜、黙って出ていこうとした「俺」だったが、嵐に見つかり呼び止められ、嵐の抱える「秘密」を知らされる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チャーミン
37
双子の弟が自殺した。その喪失感からか嘆き悲しむ母親のある一言に傷付き、家出した高校3年生の俺(三崎葉太郎)。海辺に倒れていたのを嵐という青年に助けられる。食堂を営む嵐にはある秘密が、、。嵐や葉太郎を取り巻く人達が穏やかで温かい。温かくも切ないお話だったけれど、クラゲの食堂でのひと夏を綴る文章が静かに流れる波のようで心地よかった。2022/01/04
ハルト
13
喪われた半身、たゆい揺らめく秘密、クラゲのいる食堂。食堂の主に助けられた記憶喪失の少年が知る、ひと夏の切なく透明な、青春の痛みと思い出。人間が、ずっと海中に止まり続けることが叶わないように、海中にこぼれた月の光を決して手で掴むことができないように、いつかは悟る。そのままではいられないということを。クラゲと死と海のイメージが幻想的で美しい、喪失と青春の物語でした。全体の雰囲気もですが、特に嵐の設定が、映像化したらさぞかし…と、とっても好み。アニメ化されるとのことなので期待。ぜひ観てみたいです。2014/09/28
文々
4
静かできれいだった。身近な人が死んでしまったり、いなくなってしまうけれど、悲壮感がなく読みやすかった。神秘的で、冷たい水に触れているような感覚になりながら読んでいた。心があらわれるようで、良いお話でした。2015/11/21
ゼニガメ
4
【呑み喰い週間】表紙に惹かれて。クラゲが漂ってそうな、夏の終わりの寂しくなった海にぴったりのお話でした。誰かと二度と会えなくなる寂しさについて。2015/09/25
knoriko
4
講談社BOXで予想外にセンチメンタルな作品だった。双子の弟の自殺を機に家出した主人公が、とある食堂でお世話になる話。登場人物はなにかしら”失われてしまった関係”を引きずってる。苦悩とはいえないほどの、ささやかな諦めとか後悔とか。クラゲのような、半透明な悲しみというか。なんだかぎこちない文章だったけど、ところどころの台詞が素敵なので好印象。切ないファンタジーが好きな人にはおすすめ。いずみちゃんがなかなかストイックでかっこいいです。2015/05/11
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