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内容説明
昭和史の第一人者は、いかなる本を読んできたのか?本書は、近現代史研究の第一人者が、日露戦争から戦中・戦後に至るまでの歴史を深く理解する上で名作22篇を厳選し、作品を読み解きしつつ、歴史の実相に迫ったもの。特に読みどころは、司馬遼太郎著『坂の上の雲』に関する80ページの論考。「こんな読み方があったのか」「こんな歴史があったのか」と読書の面白さを味わうとともに、知られざる歴史を知ることができる。近現代史の語り部として読者の絶大な信頼を得ているその史眼は、いかなる読書歴から培われたのか。本書には、著者独自の「本の読み方」に触れる楽しみもある。一冊でいくつもの味わいがある、まさに読書ガイドの「決定版」である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
77
近代日本史というより、日露戦争前後から第二次大戦後までの戦争史及びそれに関する本である。最初に本書の三分の一ほども占める『坂の上の雲』、つまり日露戦争についての言及で、彼の日露戦争を戦った軍人や日本国への思い入れ、そして司馬氏への敬愛がよくわかる。本書の最後でも再び司馬氏に、その最後に書かれた作品に触れている。第二次大戦の話は詳しすぎて読むのに辟易する部分もあったが、要するに情けない日本のトップが起こした戦争で、なぜ避けられなかったのかと言いたいのだろう。吉村昭氏、阿川弘之氏への思いも深い。2014/09/18
り こ む ん
36
今の若い人に読んで。と、言っても興味が湧きそうか?と、聞かれたら疑問もあるけれど、近代史を読みたいけれど…って人には、読む前のちょっとした解説本になるかもしれない。主に昭和史本なのだけど、半藤さんとその作者のエピソードなども語られて、作品とその人柄、作品に対しての姿勢が、伝わってくるので、個人的は面白い。司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」に関しては、一章を割いているあたり、半藤さんにとって、司馬遼太郎とゆう存在の大きさが伺える。2014/05/09
ヨーイチ
32
図書館本。看板に偽りありで、「若い読者」に勧めるには渋すぎる本が多いし、「日本近代史」も基本大東亜戦争絡みばっかり。出版社のセンスかなぁって気もする。「長距離列車乗車前にキオスクでご対面、車中で読み切り」本。PHP文庫ってそんなイメージなのです。それでもこの本は予想外の当たり。一番の読みものは「坂の上の雲」についての解説で、「敢えて史実を無視して小説としての効果を重視した箇所」が指摘されている。司馬遼太郎の死後公開、発見された資料も沢山有るらしい。あと特攻隊員が仲間内で交換した川柳が残っている。続く2016/01/26
Cinejazz
4
本文庫のサブタイトル『私が読んできた本』とある通り、半藤一利さん自身が感銘を受けた作品と作家にスポットを当て、歴史探偵として縦横無尽に(作家と読者に気配りしながら)語った半藤流の読書ガイドです。司馬遼太郎の『坂の上の雲』に始まり『この国のかたち』で締めているように、思いの丈を存分に訴えて余りあります。本文庫の白眉と言っても差し支えない解説と思います。 2019/04/06
ケイト
3
どこまでも史実を求めながら、戦前戦中の日本を、他の作家さんの本や対談をもとに解説されている。学校ではなかなか深く学ぶ機会の少ない近代史。もっと知りたいと思った。2016/08/07