内容説明
わが子がこの時代の日本に生まれてきて、一人の日本人として生きていくのであれば、素晴らしい先人の西郷南洲翁を手本とする心の教育を彼に施さなければならない。そして、この子を南洲翁の精神と美学を少しでも受け継いでくれるような「武士」として、そして「君子」として育てていきたいのである。──「後記にかえて」より。著者は北京大学を卒業後、日本で留学生活を送るうちに、子供のころ祖父から教わった『論語』の精神が、中国よりもむしろ日本の地において息づいていると確信して日本に帰化した四川省出身の知識人。現代中国に対する容赦ない批判で著名な著者が、日本人女性と結婚し、2012年1月に無事出産した第一子に向けて渾身の力で書き下ろした武士道精神の教科書。源義経、北条時頼、楠木正成、徳川家康、山鹿素行、徳川吉宗、松平定信、大塩平八郎、武市半平太、西郷隆盛、そして乃木希典、三島由紀夫にまでつながる日本武士のDNAとは。
感想・レビュー
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KUAD
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少人数で「死ぬ覚悟で戦う」武士。義経と楠正成。どちらも平家、北条家を倒す。これが武士道の源流。その間に元寇を闘い抜いた北条時宗。また正成は義経と違い、勝ったにもかかわらず負けた側の尊氏との和睦を進言する的確な情勢分析力がある。田舎武士ではない。戦には老練かつ合理的でありながら自己保身には無頓着。それこそが「日本武士」の原点。皇室という大義に殉じることだ。忍の一字で戦国を勝ち抜いた家康は、和を重んじる日本人だ。明治期に生きた西郷や大久保もまた日本武士だ。東郷平八郎の死ぬ覚悟も同じ。太平洋戦争は一億総武士。2013/01/06
まゆまゆ
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源義経から始まった武士道精神というものを現代まで登場した歴史上の人物の行ったことにスポットを当てて解説していく。現代の武士と呼べる人が一色氏だけ、とはちょっと言い過ぎな気もするが、それだけ武士の心をもつめだった人がいないという裏返しでもあるのだろう。2012/11/20
keiトモニ
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武士とは「高貴なる者の義務」を背負って、主君に対する忠義、民衆に対する仁政、自分自身に対する修身である…。大楠公ほどの平成の新政をなさる武士は今時おらぬか。厳しい倹約を自分に課した松平定信の「自らの性欲の抑制」をせよとまでは言いませんが、心ある人は、実践せずとも内に秘めて一人でも多くの人が投票行動されたいものです。民主党に高貴なる者の義務を果たす人たちがどれほどいるのでしょうか。日本人のアイデンティティーを教えられるとは、トホホです。2012/07/14