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内容説明
全米最大で最も嫌われているエクソンモービルはこうして生まれた。アラスカ沖原油流出事故から、原油を求めて世界の紛争地帯に飛び込む。現地政府、軍隊、反政府勢力などと壮絶な競争を繰り広げつつ、米国政府を陰で動かすその姿を、ピューリッツアー賞受賞記者が数多くのインタビューと膨大な資料を基に描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shin
22
世界有数の国際石油資本、いわゆるメジャーであるエクソンモービルの企業史ではあるのだが、米国+諸国+諸企業の政治経済史というかケーススタディ集でもある。人権、環境、企業価値という〈正論〉蔓延る世論から目の敵にされながらも、一本スジの通った経営哲学を貫き通して企業体としての面目と業績を保ち続ける同社の凄みは経営規範として賞賛に値する。キレイ事だけでは世の中は回らない。清濁併せて「企業の使命とは何か」という観点から本気で経営(と政治)について考えてみる胆力と柔軟さを持つ若い人々に読んでもらいたい本。2015/02/25
もよ
11
「管理のエクソン」と誰かに呼ばれていたと記憶しているが、高潔とも傲慢とも受け止められる首尾一貫し、かつ取り付く島もない企業統治の一端にトピックス的な事件から切り込んだ珍しい本だと思う。特に各国の独裁政権とのアメリカ政府を巻き込んだ関わりはなかなか目に触れることではないと思われ特筆すべきだろう。2018/05/01
gogo
11
世界最大の石油メジャー、エクソン・モービル社の最近25年間ほどの歴史を扱ったノンフィクション。2段組で600ページ超ある。内容は、紛争地域のアチェや超独裁国家の赤道ギニア等での事業の困難と克服、カタール勃興を導いた話、シェール革命など、事実は小説よりも奇なりの面白い物語が満載だった。1社でノルウェーのGDPを上回る売上高を生み出す。その背景には、徹底した利益追求主義と合理主義が貫く企業文化があることが分かった。また、規律、勤労、倹約を尊ぶリーダーと組織の倫理にピューリタニズムの濃い影響を個人的には読んだ。2015/04/07
koji
7
1989年、エクソンバルディーズ号のアラスカ沖原油流出事故に始まり、2010年、BPのディープウォーター・ホライゾン号のメキシコ湾原油流出事故に終わるエクソンモービルの大河ドキュメンタリーです。特に最悪の時期から立ち直り、モービル買収後12年に稼いだ純資金収支4.9億ドル(同時期の米国純資金収支△5.7兆ドル)を稼いだ時期の西アフリカ、インドネシアの独裁政権と渡り合った強かな戦略と鉄の規律・秘密主義とロビイング活動を課した経営は大いに読み応えがありました。中でも、レイモンドの強面ぶりに魅せられました。2015/07/28
Germanene
7
世界最大の民間石油会社・エクソンモービル社を軸にした国際政治経済ドキュメンタリー。「世界最初の近代的企業」スタンダード石油の後身である同社は89年のエクソン・バルディーズ号事件をきっかけに、自らの企業文化である徹底した収益管理と内部規律を哲学の域にまで強化する。政治的に不安定な中東・西アフリカへの進出など際しても一切の例外なく自らの基準を押し通し、時にアメリカ政府との対立も辞さない同社の姿はまさしくグローバル企業の極致と言える。創業者ロックフェラーの伝記「タイタン」と併せて読むと非常に面白いと思う。2015/02/15