ファーマゲドン 安い肉の本当のコスト

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ファーマゲドン 安い肉の本当のコスト

  • ISBN:9784822250744

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内容説明

まるで工場のような家畜飼育、養殖、穀類・豆の単一栽培……。
一見すると、安価な食料を効率的に大量生産する素晴らしい手段のように見える。
しかし、現実はまったく逆だ。現代的集約農業は、公害をまき散らし、生態系を乱し、貧困層を拡大する。
その先に待ち構えているのは、ファーマゲドン(農業がもたらすハルマゲドン)だ。
本書では、食料供給よりも利益を優先したために生じた、思いがけない結果について探っていく。国民に食料を供給するためよかれと思って始められたことが、なぜこれほど間違った方向に進んてしまったのか。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

35
2014年初出。集約農業がもたらす大量廃棄物と高脂肪で低品質の肉を熟知すれば、そのシステムは正しいのかと再考する気になる(19頁)。3000万羽の卵用鶏を飼育する台湾でみた光景は、空きスペースは残らない。餌と水のみ(58頁)。これが大量生産の現場か。動物福祉の観点からするとどうなのかな? ハチの減少:農薬まみれの単一栽培を行う工業型農業のせいで、生息地を奪われ、駆逐された(93頁)。獣医や農場主は、工業型農業システムで犠牲者となる。低賃金、大量生産を強いられる(170頁~)。2015/12/22

たまきら

29
家畜の福祉、という一見矛盾に感じる活動家が、「安い肉は動物だけではなく、従事者、消費者、環境までもを虐待している」という現実を世界各国の現場をみて(あるいは見ることを拒否されて)報告している内容です。冒頭がいきなり「岩手の観光牧場(小岩井ですよね)」から始まり、なんだか身近です。ミツバチも家畜なためかなりの紙面が提供されており、CCDの主要原因がネオニコチノイドであることが簡潔に記されていた。決して「菜食」を推薦はしておらず、逆に安全な肉の求め方を紹介している末尾がありがたかった。2018/04/11

Sakie

20
この厚さは読む者に覚悟を問う。辛辣な表現への安易な同調は避けたくも、余りに絶望的な現実に途方に暮れる。ファーマゲドンとは、ファーム+ハルマゲドンの造語だ。大戦後、人間は食糧である農畜産物に「効率」を求め、自然との調和や自然への敬意を欠くようになった。結果生まれた工業型農業は搾取の連鎖だ。環境を壊し、動物福祉を損ない、人間の健康を害し奪い、生産効率が下がる実例が並ぶ。“持続可能な集約化” などないとの結論に私も同意する。経済を最優先したシステムは人間も動物も不幸にする。今後必要なのは集約ではなく分散だろう。2018/10/25

Kazehikanai

20
工業型畜産が我々の社会の持続可能性を脅かしている。環境破壊、動物虐待、貧困問題など、その害悪を取材しながら運動してきた著者の危機感が乗り移る。人間の利益のために、自然の摂理に反して過剰に太らせた動物、そのために犠牲になる多数の人間と環境、食べられるために生きる動物たちの福祉、何も知らされずに広がる食肉文化。矛盾を多数はらんだ人間の行いに当惑する。解決策は消費者の行動にあるだろうが、そこにも人間の自己満足や矛盾が含まれているように思える。そんなことを考えつつ、でも今はひとまずビッグマックを食べたい。2016/03/12

もりやまたけよし

12
言いたいことはシンプルに工業化された農業の現状批判だ。このことをあまりに膨大な量の取材記事でなぞるばかりなので、途中で疲れ果ててしまう。正義を振りかざす刀に切られまくった感じがして、少しうんざりした。日本人の感覚としては少し違和感があるのは、欧米の人間の農業さえ工業化するというドラスティックな発想だろうか。自然と調和して生きることを、肌で感じれない人たちには、悲壮感が漂う。2016/10/21

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