内容説明
福島原発事故後,事実としても科学としても誤った発言が跋扈した.ところが,受け手の市民に責任が転嫁される事態が生じている.専門家といわれる人々のことばから論理の構造を抽出し,どこに問題があるのかを明確にする.信頼の条件とは,内容の確かさだけではない.科学者を含む市民皆が直視すべき,知識の扱い方の問題である.
目次
目 次
第1章 地に墜ちた信頼?
《コラム》科学・科学者・専門家
第2章 事実としても科学としても誤った発言の跋扈
2.1 「『想定外』でした……」
2.2 私が正しいと思うことは私が正しいと思っているがゆえに正しい
2.3 私にわからないことは存在しない
2.4 現実とは私が想像することである
2.5 私たちが正しいと思っていることは私たちが正しいと思っているがゆえに正しい
2.6 事故から目を逸らす最善の手段は既存の知識で事故を見ることである
第3章 社会的に適切さを欠いた発言はどのようになされてきたか
3.1 私が(無意識に)妥当と思っていることは,皆に,そして社会に,妥当する
3.2 私の知らないことは存在しないし,私は法律も法的考え方も法の理念も知らない.私は専門家なのだから
3.3 ボクこの話をする,だってしたいんだもの,ボクは専門家だからみんな聞くんだよ
インターミッション:信頼とその条件
コミュニケーションと状況の変更
第4章 どのようにして信頼を支える基盤が崩壊したのか
4.1 失敗したのは私たちだが,問題は皆さんにある
4.2 心配ないと言っているのに心配する皆さんがおかしい,理由を私が説明してあげよう
第5章 コミュニケーションの再配置へ向けて
「東京大学環境放射線情報」をめぐって(押川正毅)
あとがき
注
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