内容説明
庭の松にしかハーケン(登攀具)を打ったことがない悪友に誘われて岩壁に挑み、みごとズリ落ちた帰り道、ふとみつけた夏みかんに静かに感動する表題作。以来、地球凸凹状況探険家となったシーナがニッポンを歩く。あるときは雪山に天幕を張って酒盛り。またあるときは山のいで湯で温泉正常化を考える。はたまた、カヌーで秘境の沢をくだる。焚火と自然と人間をこよなく愛す、アウトドア・エッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥
117
シーナさんのアウトドアエッセイ。表題の「ハーケンと夏みかん」はまだ高校生のシーナさんが親友の沢野氏と学校をサボってロッククライミングに行く話。庭の松しか登った事がないのに粋がってベテランぶる沢野少年と果敢にも岩山に挑戦するがあっけなく敗退。微笑ましくも、甘酸っぱい青春時代。その他、銀山湖のイワナ釣りや四万十川のカヌーでの川下り、白神山地のクマゲラなどなど。天幕を張って、焚き火を見ながら酌み交わすお酒。良いなぁ。野外生活はやっぱりこれだよなぁ。★★★★2017/08/27
kinkin
102
もう35年くらい前の本。作者の椎名さんも若かった頃の山や登山、キャンプやカヌー他 アウトドアライフが書かれている。アウトドアと世の中が声を上げ始めたのがこの頃ではなかったかな。車もキャンプに使えるようなワンボックスや4wd車も多くなったなあ。私もそんな一人で4wdで冬はバッチリだったはずが肝心の大雪の前の日に車をぶつけられて代車に乗っていたという間抜け。アウトドアというのはアメリカの山深くで一人飯を食ったりするのが本当だと思う。オートキャンプ場で隣人と顔合わせというのは避けたいね。2021/08/13
goro@the_booby
59
「山と渓谷」に連載されたエッセイを纏めてます。中でも「わが垂直上昇記」の気持ちが良く分るわ~。岩場登りはビビりまくりで慣れないと腕を伸ばせないんだよね。しがみつくしかなくて怖いけどまた登りたくなるんだよね。中毒性あります。前編飲んで焚火してのやりたい放題珍道中ですが楽しそうです。今年は俺も安達太良山で温泉行こう!2018/03/15
さきん
33
高校の同級生に誘われてから始まった山とのつきあい。初陣はいきなりロッククライミングに挑戦して挫折するも、文筆業、周りとのつきあいから山での取材や旅行が多くなり、同行する仲間も多くなっていく。四万十川下りの話はとても楽しく読めた。一緒に山歩きに来てくれる奥さんも素敵。2018/11/18
あきあかね
30
山登りに川下り。椎名誠のおおらかで明るいアウトドア·エッセイを読んでいると、焚き火が静かに(時に激しく)はぜる音や川面をなでる涼やかな風が感じられる。カヌーから手をのばして、シェラカップに四万十川の清流を汲んで作るウィスキーの水割りはまるで甘露のよう。 自分のように長い休みをなかなか取りにくい勤め人にとって、国内外の各地を旅する著者の本は、自由で豊かな時間、言わばもうひとつの人生を追体験させてくれる。決してストイックではない軽みのある山旅·川旅に身を委ね、活力を得て、再び日常へと戻ってゆくのである。2019/08/27
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