集英社文芸単行本<br> 砂漠の青がとける夜

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集英社文芸単行本
砂漠の青がとける夜

  • 著者名:中村理聖【著】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 集英社(2015/02発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 360pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087715972

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内容説明

【第27回小説すばる新人賞受賞作】東京で雑誌編集をしていた瀬野美月は、姉が亡き父親から譲り受けたカフェを手伝うため、京都に移り住んだ。淡々と日々を過ごす彼女の心をよぎるのは、東京での仕事と不倫相手の記憶だった。飲食店の紹介記事で使う言葉への違和感、別れを告げた不倫相手から送り続けられるメール……。自らの気持ちと、それを表現する言葉とのギャップが、美月の心にわだかまりとして残っていた。そんな美月の前に、どこか現実感がなく不安定さを帯びた男子中学生が現れる。平日の夕方にコーヒーを注文する彼は、大人びた物静かな少年だったが、あどけない面も持っていた。二人が親しくなっていったある日、彼は他人とは異なる世界が見えることを美月に打ち明ける。彼の話を聞くうちに、美月は自分の現実感が揺らぐ感覚を抱き、彼自身の存在さえ確かではないという思いを持つようになる。そして、彼だけが知覚する言葉を、ノートに書き留めるようになった美月に訪れた瞬間とは――。繊細な文章表現とみずみずしい感性が光る受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

nyanco

61
今年のすばる新人賞受賞作。京都、なごみ系カフェ…と、最近良く見かける設定ではあるのですが、新人とは思えない程、文章力が優れている作家さん。言葉選びが非常に巧く、独特の世界観が見事に表現されている。「時」を閉じ込めたボトルなど小道具の選び方にセンスを感じるが、やや背伸び感もあるように感じる。しかし、不思議な中学生・準の存在が魅力的で、「ことば」のエピソードには、この作家の中にある作品の種の存在が感じられる。続→2015/03/14

おかだ

53
タイトルに惹かれて手に取った、すばる新人賞作品。わりとすばる新人賞の作品って好みのやつが多くて注目しているんだけど、これは少し私には合わなかったのかな…。東京での仕事や不倫に疲れ、京都でカフェを営む姉を手伝う主人公。ただ淡々と働く毎日だが、カフェによくやって来る中学生の不思議な少年と関わるようになり…。ゆるやかで、漂うような世界観。少年に不思議な力があるという所からが本題かと思うのだが、発覚するの遅すぎて勿体無かった。でもゆるい気持ちで京都の素敵なカフェの雰囲気は満喫できた。2018/05/14

きつねこ

47
ず~っと読みつづけていたい不思議な空気感。生と死と狂気と日常がふんわりとした言葉でくるまれる。私は京都の話ってだけで手に取ったけど、大正解♪。東京で雑誌の仕事をしていた主人公が亡くなった父の店で姉のはじめた京都のカフェを手伝うんだけど不思議な能力をもった少年や姉の昔の友達と出会って~。と、書いたらそんな話なんだけど、淡々と美しい言葉で綴られる京都の季節と風景、生活は、姉妹や関わる人たちのの過去と今をたおやかに彩っていて。ベタの京都弁がでないのもいいかも。これはお気に入りの一冊になるな。2015/05/11

そうたそ

45
★★☆☆☆ すばる新人賞受賞作。京都を舞台にカフェで働く姉妹と、そこを訪れる不思議な能力を持った男子中学生を描く作品。文章は綺麗だし、端正な描写の数々には新人とは思えないものを感じるが、特徴的なものはそれだけという感じ。個人的には京都が故郷ということもあり、その風景描写には懐かしさも感じながら読んだが、ストーリーとしては特に印象に残るものもなく、全体としてみても既視感を感じてしまう陳腐な内容だった。文章力や表現力には目を見張るものがあるので、今後には期待したい。女性受けはするのかな……?2015/06/22

エンリケ

37
京都のカフェを営む姉妹のお話。初読みの作家さんだが何とも不思議な作風。主人公の内面世界が繊細なタッチで描かれ、その小宇宙を浮遊している様な感覚になる。不倫を清算し、夢を諦め、姉のカフェを手伝う主人公。流産を自分の責任と感じ、禁欲的に調理に没頭する姉。心が空虚になった二人の日常はどこか痛々しく、読んでいて救世主を求めてしまう。姉の友人織田さんがそんな状況を打破してくれるかと思ったが中々前に進まない。存在感の希薄な少年も登場し、この世界を細やかに揺らす。この閉鎖された世界で四人はずっと彷徨い続けていきそう。2017/04/18

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